米トランプ次期大統領が10年で1兆ドル規模のインフラ投資策を打ち出し、中国でも官民一体のインフラ投資プロジェクトが進められているように、今、世界的なインフラ大競争時代に突入しようとしている。「ひふみ投信」運用責任者でレオス・キャピタルワークス代表の藤野英人氏が、こうしたグローバルなインフラ投資の株式市場への影響について解説する。
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インフラ投資は自国内を潤すだけではない。インフラ整備に不可欠な鉄鉱石やセメントなどの需要も伸び、それらを産出する資源国にも好影響をもたらすだろう。
これまで中国をはじめ新興国の経済成長が失速したことで、原油をはじめ資源価格は下落。それに伴って資源国も苦しい状況に追い込まれ、グローバルな成長を取り込めなくなったことで日米欧の先進国も低迷。世界的なリスクオフの高まりから安全資産とされる円買いが進み、円高が重石となって株安─というのがここ1年ほどの流れだった。
そんな2016年のネガティブ材料がいよいよ逆回転しようとしている。世界的なインフラ投資が資源高につながり、資源国や新興国の復調でリスクオンの機運が高まれば円安トレンドに転換。そして株高への反転である。
まして日本経済にとっては、さらなる好材料がある。2016年12月に予定される安倍晋三首相とプーチン大統領の日ロ首脳会談だ。長年の課題である北方領土問題は、お互いのメンツを立てる意味でも、何がしかの進展は見せるだろう。ロシアにしてみれば、クリミア問題を機に経済制裁に追い込まれた事態を打破すべく、豊富な天然ガスを日本に売り込みたいのが本音ではないだろうか。日本にしても2020年の東京五輪以降の経済成長を睨んだ取り組みは少しでも広げておきたいところだ。
そこで、たとえば日ロがシベリアの共同開発を進めるような計画が決まってくれば、株式市場が大きく反応するのは間違いない。
すでに期待感から一部のロシア関連銘柄が物色されてきたが、今後は世界的なインフラ投資の流れと相俟って、資源高の恩恵も期待できる商社をはじめ建機や重工業といった「重厚長大産業」の大型株が久しぶりに大きく脚光を浴びると見ている。
そして、それらの銘柄は指数に対するインパクトが大きいため、株価上昇に伴ってETF(上場投資信託)を年6兆円もの規模で買い進めている日銀にとっても大きなメリットにつながるはずだ。日銀が異次元の金融緩和のみならずマイナス金利まで金融政策を総動員してもなかなか上向かなかった日本経済だが、いよいよ光が差し込もうとしていると見ることもできる。
そう考えていくと、2017年は為替が大きく円安方向に進み、日本株も大きく上向く可能性があるだろう。それが私の予想である。