ビジネス

若い社員の転勤嫌い 居心地いい蒲団の中から出たくないだけ

漫画家・弘兼憲史氏が転勤を嫌う若手社員に苦言

 かつて日本企業では、転勤キャリアと密接に結びつき、業界や会社ごとに“出世街道”があったものだが、最近の若い世代にとって転勤は負担ばかり大きく、仕事の能力向上にもつながらない非合理的なものと認識されているようだ。

 そうした流れを受けてか、従来の転勤制度を変えようとしている企業も少なくない。例えばキリンでは2013年から「転勤回避制度」を導入している。

「『育児期間は転勤を回避したい』との要望を受けて導入しました。総合職社員が育児や介護のために転勤に応じるのが難しい場合、最大5年間、転勤を回避できる制度です。女性社員だけでなく、介護を理由に申請した男性社員もおり、すでに複数名が活用しています」(同社広報)

 さらにイオンリテールでは2017年3月に人事制度を改め、“転勤ナシ”の地域型社員でも店長や部長など幹部クラスに昇進できる制度を導入する予定だという。

 若い社員たちの「転勤したくない」という声に呼応するように企業がシステムを変えていることに対して、それを危惧する声もある。『島耕作』シリーズでお馴染みの漫画家・弘兼憲史氏がいう。

「『したくない』といえば許されるほど、社会は甘くありません。合理的ではない事態と向き合うことで、鍛えられる力もあるんです。転勤すれば違う世界が見られるし、新しい地平も拓ける。

 若い社員が転勤が嫌だというのは、変化を楽しむのではなく、恐れているから。恵まれすぎていて、居心地のいい蒲団の中から出たくないだけ。これでは新興国の企業に負けていきますよ」

 日本企業の“文化”は、このまま廃れてゆくのだろうか。

※週刊ポスト2016年12月16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
工藤遥加(左)の初優勝を支えた父・公康氏(時事通信フォト)
女子ゴルフ・工藤遥加、15年目の初優勝を支えた父子鷹 「勝ち方を教えてほしい」と父・工藤公康に頭を下げて、指導を受けたことも
週刊ポスト
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン