芸能人の「おしどり夫婦」といえば、北斗晶・佐々木健介、ヒロミ・松本伊代、最近では森三中の大島美幸・鈴木おさむ、北川景子・DAIGOといったところが有名だ。今、そんな「おしどりカップル」の歴史に新たな潮流が生まれている。そこには恋愛観・結婚観の変化、さらにはSNSの発達も関係しているという。
例えば「ぺこ&りゅうちぇる」。彼らはまだ結婚していない「恋人同士」である。これまでの「カップルタレント」は結婚後の男女が多かったが、未婚者でここまで人気となったケースは珍しい。同棲中でもある彼らは、将来のことはわからないものの、相手を好きという気持ちのまま今を楽しく生きたいという若者の象徴ともいえるかもしれない。
そしてもう1組、価値観の変化が生んだ「新・おしどり夫婦」がいる。それが元AKBメンバー・川崎希とその夫、アレクサンダーである。
川崎は4年間在籍したAKB48を卒業後、夢だったアパレル会社を立ち上げ、さらにはネイルサロン、エステサロンも経営する実業家へと成長。一方、夫でペルー出身のモデル・アレクサンダーは、川崎との間にある収入格差に対してさして引け目を感じず、むしろ妻を「応援する側に回りたい」と公言。実際に料理など毎日の家事は彼が担当しているという。
川崎自身も「むしろ彼がいてくれることで私がハッピーになるから働ける」と語っている。同じように、妻が生活費を出し、夫が献身的に支える夫婦が、人気女芸人の椿鬼奴と、8歳下のお笑いコンビ「グランジ」の佐藤大。佐藤は家事全般をこなす主夫的存在。料理はプロ並みの腕前で、椿鬼奴は結婚して1年で4kg太ったとか。
夫が妻より稼ぎが低いことを否定的にとらえる見方はいまだに多いが、そうした日本の古い因習や固定概念にとらわれず、今まで「格差」とされていたことを隠すことなく、自ら公にする芸能人夫婦は新しいケースといえる。
そんな背景にはやはり、結婚しても仕事を続けたいというキャリア志向の女性や、主夫として家に入る男性の増加など、日本全体の夫婦のありようの変化が反映しているのかもしれない。
最近のSNSの発達も、「タレント夫婦」に好影響をもたらしている。
例えばタレントの木下優樹菜。写真共有アプリ「Instagram」では、夫であるお笑いコンビ「FUJIWARA」藤本敏史とのペアルック写真や、2人揃っての“変顔”写真、藤本の何気ない食事シーンを動画で撮影して投稿している。
「渋谷ギャルがなりたい顔ナンバーワン」と言われる人気モデル・近藤千尋も、昨年9月に結婚したお笑いトリオ「ジャングルポケット」の太田博久との生活を頻繁にインスタにアップしている。
これまでの「おしどり夫婦タレント」は“のろけ話”はしても、それを示すような写真を出すようなことはあまりしてこなかった。だがネットを使って手軽に日常を投稿できる時代になったことで、夫婦の“仲良しぶり”もアピールしやすくなったのではないだろうか。
タレントとしての商品価値を鑑み、共演をしない夫婦もいる中で、以上に挙げた彼らはむしろお互いの好感度を高めあっているようにも思える。
もちろん恋愛観・結婚観は年齢によっても大きく異なるし、そもそも恋愛や結婚に興味がない人も増えている。さまざまな考え方の中で広がりを見せる「愛のカタチ」は今後、どんな「おしどりカップル」を生み出していくのだろうか。 (芸能ライター・飯山みつる)