しっかり者の女の子タマと、気は優しくて力持ちの男の子ナヌックが、軽井沢のクマ対策犬としてアメリカからやってきたのは昨年の秋のこと。
「まだまだ覚えることがたくさんあって、現場を踏みながらスキルを上げている感じです」と言うのは、タマ。
彼らは、カレリアンベアドッグという名が示すとおり、カレリア地方(フィンランドとロシアの国境地帯)でヒグマ猟のために改良されてきた犬で、この春から、現場に出て軽井沢とクマを守る仕事をしている。2頭は7頭きょうだいとして誕生したけれど、どちらが先に生まれたかは不明。
「でもなんとなく、タマがお姉ちゃんで、ぼくが弟っていうポジションになっちゃってるんですよね」
慎重で警戒心が強いタマがクマのにおいをいち早く察知し、勇敢なナヌックが大きな吠え声で威嚇。それぞれの持ち味を生かした連係プレーで、効果を上げているのだという。
「わたしたちのハンドラーはクマが大好きなんです。だからこそ、殺さなくていいよう、威嚇して森に帰すんですね。わたしたちがしていることは、そのお手伝い」
まもなくクマたちは冬眠に入り、タマとナヌックはその間に訓練と体力作りに励むという。人間とクマが安心して暮らせる軽井沢のために。
【PROFILE】
名前:タマ ♀ ナヌック ♂
年齢:2歳
種類:犬(カレリアンベアドッグ)
勤務先:ピッキオ
職種:ベアドッグ(クマ対策犬)
主な仕事内容:クマと人が共存できるよう、人里に降りてきたクマを森へ追い払う。
お給料:鹿などの動物の肉を乾燥させたもの。市販品の他、駆除された動物がいる場合は譲り受けてピッキオが加工する。
好きなこと:散歩!
嫌いなこと:グレーチング(金属製の側溝のフタ)の上を歩くこと。
現在の悩み:ひとりぼっちが苦手だったけど最近克服!(ナヌック)
警戒心が強いという個性をどう伸ばしていけばいいのか試行錯誤中(タマ)
将来の夢:軽井沢だけじゃなく、日本中で野生動物と人間が共存できるようになってほしい。
撮影■山口規子
※女性セブン2016年12月22日号