焼き鳥屋の風景が変わった。串から肉を抜いて箸で食べる人たちが増えているという。その食べ方に、他ならぬ焼き鳥店店主がブログで、串から外さず食べてほしいと訴えたことで、串派、串外し容認派の二派に分かれ、意見が真っ二つの論争が起きている。実際には、会食の場では「串から外す」が優勢になってきているようだ。
2000回以上の合コンを経験した“合コンシェルジュ”の絵音氏が語る。
「飲み会や合コンでは、串のまま口に入れてしまったら他の人が食べられません。そうした場では、焼き鳥を串から外して全員でシェアすることはいまや常識になっており、マナーと言ってもいい。好みだからと串ごと独占したら、間違いなく“コイツ、KY”と見なされます」
むしろ最近は、「外す行為」がアピールポイントにさえなる。
「職場の飲み会などでは、串から外す作業は下の立場の人の役割になっていて、頼まれる前にサッと外すと“できるな”と上司から評価されます。合コンでも、サラダの取り分け同様、率先して串から外すと“気が利く人”と好印象を与えられます」(同前)
ただし、単に外せばOKというわけではない。“作法”に注意しないと親切心が思わぬ逆効果となる。
「必ず『外しますね』と一言断わったうえで、新しい箸で外すのがベストです。よく箸を逆さにする人がいますが、“手で触れる部分なので気持ち悪い”という人は少なくない。新しい箸がない場合は、箸の両端を避け、真ん中あたりで外すとスマートです」(絵音氏)
串外しは奥深いのである。
※週刊ポスト2016年12月23日号