千葉大学医学部生による集団強姦事件で、ある一家の存在が注目を集めている。千葉県警は12月5日、研修医の藤坂悠司容疑者(30)を準強制わいせつ容疑で逮捕すると同時に、11月21日に集団強姦致傷容疑で逮捕していたが、発表を控えていた千葉大医学部生、吉元将也(23)、山田兼輔(22)、増田峰登(23)の3容疑者の氏名を明かした。
事件は9月20日、千葉市の飲食店で開かれた飲み会で、3容疑者が20代女性に酒を飲ませた後、共謀して店内のトイレや、その後に容疑者宅に連れて行き、翌21日早朝までの間に性的暴行を加えたとされる。新たに逮捕された藤坂容疑者は店内で女性の体を触るなどした疑いだ。
「県警は当初、氏名だけでなく容疑内容の詳細も公表しなかった。県警は『被害者が特定される恐れ』や『捜査に支障が出る可能性』を理由に、各紙の支局長に『報道するな』と異例の連絡をするほどナーバスになっていた。強姦事件は被害者の供述に頼る面が大きいため公判を維持するのが難しく、立件できないケースも多いからです」(全国紙記者)
そうした中で司法記者たちの関心を集めているのが、一人の逮捕学生の「家族」だという。
「法曹界では超有名なファミリーだからです。容疑者の父親は法律事務所の代表を務める有力弁護士で、兄も弁護士。祖父は第一東京弁護士会の副会長を務めた大物弁護士で、曾祖父は元最高裁判事。高祖父は東京弁護士会会長や司法次官といった重職を歴任した人物です」(司法記者)
ある法学会誌ではこの一家について、〈名門弁護士一族のファミリー・ヒストリーを追跡することは、それがそのまま日本の実務法学の進化・発展の歴史を描き出すことを意味する〉と紹介しているほどだ。
「県警が発表に慎重だったのは、有力な弁護士の存在を気にしたのかもしれない。容疑者の弁護を家族が担当するかどうかはわからないが、公判では弁護士の実績やネームバリューが少なからず影響する。今後も警察・検察が神経を使う相手になるでしょう」(同前)
父親の弁護士事務所は、「当事務所といたしましてはコメントを控えさせていただいております」と答えるのみだが、今後の法廷の注目点になりそうだ。
※週刊ポスト2016年12月23日号