「女性の皆さんには『こういう男性がいたらな』と思って見てほしい。だってイケイケの男たちの話だから(笑い)」と話すV6・岡田准一(36才)が今回挑んだのは、敗戦ですべてを失いながらも石油を武器に自身の会社である国岡商店を力強く再生させる大作映画『海賊とよばれた男』。俳優として、V6として、多くの時間を男性の中で過ごす岡田が考えた男気とは…?
「死ぬほどの思いをしてみたいんですよね」──俳優、岡田准一はそう言う。
「もうこれ以上やったら死ぬ…というくらい、命をかけて演じてみたいんです」
映画『エヴェレスト 神々の山嶺』では実際に標高5200mのエベレストに登り、ドラマ『SP』(フジテレビ系)などでは激しいアクションを演じてきたが、
「プライベートで山登りや格闘技をやっているので、耐えられる許容範囲がどんどん広くなっちゃって(笑い)。それを超えるくらい追い込まれてみたい」
という岡田が今回、映画『海賊とよばれた男』で演じたのは、原作で出光興産の創業者である出光佐三をモデルにした、国岡鐡造。撮影時は34才だった岡田だが、作品の中では60代のシーンが半分以上を占める。しかも部下役に小林薫 (65)、対立する役には國村準(61)と、実年齢が60代というベテラン俳優たちが名を連ねている。彼らと同等の威厳を持って演じるのには、相当の苦労があったにちがいない。
「まず体重を増やして、重心を落とした演技を心がけました。特殊メイクを施してもらい、現場に立つと自然にその年代の鐡造になれた気がします」
そうして、共演者たちが「まったく違和感がない」と口を揃える60代の国岡鐡造ができあがった。
V6のメンバーとしてデビューして以来、ときにはアイドルとして黄色い歓声を浴び、ときには俳優として圧倒的な存在感を放つ、岡田。
「若い頃はうまく切り替えられなくて悩んだこともありましたね。そんなとき、大先輩の俳優さんたちから『おまえは役者にむいている』と言っていただいたことで、覚悟が決まりました」
緒方拳、渡哲也、田村正和…。10代から20代前半の岡田の中に俳優として光り輝くものを見つけた“大先輩”たちにはそうそうたる顔ぶれが並ぶ。
「大切なことをいっぱい教えていただきましたね。『しっかり準備をしなさい』とか『時代劇は日本の文化だからやれるようになりなさい』とか。そういう言葉はぼくの財産です」
そしてもう1人、岡田に影響を与えた“先輩”が。
「ハタチくらいの頃かな、中居(正広)くんが『おれは司会に命をかけてるから』って言ったんですよ。自分が命をかけられるものってなんだろう? って考えたとき、芝居だな、と。命をかけて、死ぬほどの思いをして、芝居をやりたい。そうやって作ったものは、きっと誰かの胸に強く残るものになると思うから」
ストイックすぎるほどストイックな男、岡田准一の挑戦はまだまだ続く。
※女性セブン2016年12月22日号