12月2日、DeNAから巨人へのFA移籍を決め、報道陣の前に姿を見せた山口俊(29)の姿は“一変”していた。口ヒゲと顎ヒゲを綺麗にそり上げ、茶色の髪は黒に戻して10cmほど短くカット。DeNAでは金髪坊主の時期もあったのに、その荒々しさはすっかり消えた印象だ。
「『紳士たれ』がモットーの巨人の“掟”に合わせた格好です。茶髪、長髪、ヒゲは禁止で、マスコミの前ではスーツにネクタイ着用というのがジャイアンツの不文律です」(巨人担当記者)
もともとはV9時代の川上監督が作ったルールとされるが、この掟が大物移籍選手を苦しめる。旧・大洋でエースだった平松政次氏はこういう。
「巨人入りした選手はこの重苦しい独特の雰囲気に負けて、グラウンド内外で自分らしさを貫けなくなる。山口は特に、球団側が“クセのある外見のほうが話題になる”くらいの気構えでいる横浜からの移籍だからギャップに苦しむことになるでしょう。2日の囲み取材も、あまりに急ごしらえだったから、『報道陣の前ではスーツ』というルールを忘れ、シャツにスラックスという服になっていた」
その囲み取材では終始、両手を体の前で合わせ、神妙な表情。巨人を「読売さん」「読売」と呼ぶ緊張ぶりだった。
「もともと山口はシャイで礼儀正しい男。荒々しいスタイルの風貌は、相手に舐められないように虚勢を張っていた面が強い。それが見た目まで大人しくなってしまうと、ただの“体はデカいが気の小さい男”になってしまわないか」(横浜OB)
今オフは史上最大級の補強に走った巨人だが、過去の大物FA選手で実績を残したケースは決して多くない。山口は重圧を打ち破れるか。
※週刊ポスト2016年12月23日号