高血圧患者の多くは、服用を続ける「降圧剤」をなかなか手放せない現実がある。だが、そうした状況を根本から一変させる画期的な研究が進められている。高血圧に悩む都内在住の60代男性が語る。
「降圧剤を医師から処方されました。でも毎日欠かさず薬を飲むのは大変で、つい飲み忘れてしまう。女房からは“なんで忘れるの”といつも怒られます……」
多くの高血圧患者は医師から降圧剤の服用を薦められる。だが降圧剤は毎日服用しなければならず、この男性のように飲み忘れてしまうケースが多い。服用を怠ると血圧が急上昇し、脳卒中などのリスクが高まる。
薬を飲み続けることは煩わしく、「一生“薬漬け”で過ごすのはイヤだ」との声も多く聞かれる。しかし現在、そんな面倒な毎日を一変させる「高血圧ワクチン」の開発が急ピッチで進んでいる。
12月上旬、バイオベンチャー企業のアンジェスMGと大阪大学の森下竜一教授らは、高血圧治療のワクチンの臨床試験(治験)を2017年からオーストラリアで開始すると発表した。そのワクチンは、毎日服用しなければならない降圧剤と違い、1回注射するだけで血圧を下げる効果が数年間にわたって持続するという。