箱根駅伝本番が迫ってきた。王者・青学大を追うライバル校に「続々とすごい選手が戻ってきた」と興奮気味に解説するのは、駅伝情報満載サイト「EKIDEN NEWS」の“博士”こと西本武司氏だ。
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12月4日の「日本体育大学長距離競技会」(日体大健志台陸上競技場)で有力ランナー2人が“復活”した。
1人目は駒澤大のエース中谷圭佑(4年)。中谷は1年で走った箱根4区でいきなり区間賞を獲って以来、駒澤大を引っ張ってきた選手だ。今季も5月の関東インカレ2部1万mで青学大エースの一色恭志(4年)を振り切り優勝(28分43秒)。ただ、その後は故障で出雲・全日本駅伝をともに欠場し、世田谷246ハーフ(11月13日)や上尾ハーフ(同20日)も出場しなかった。世田谷246の後に、「中谷は戻ってくる」と語った大八木弘明・監督の言葉を“他校に揺さぶりをかけているだけでは?”と勘ぐる人もいたが、ハッタリではなかった。
日体大記録会での中谷のタイムは29分7秒。自己ベストの28分17秒と比べると遅く見えるが、故障明けは徐々にレースの強度を上げて仕上げていくものだ。
現場で見れば復調が本物とわかる。坊主頭でスタートライン上に立った中谷は、猛るカモシカのような跳躍を見せた(写真参照)。足は隣の選手の鳩尾ほどの高さ。驚異的なバネだ。
この姿を見て私は、全日本駅伝4年連続区間賞の駒澤大OB・油布郁人(現・富士通)を思い出した。超人的な跳躍で筋肉に刺激を与え、スタートに備える独特のルーティン──あの、「油布ジャンプ」である(ネットで〈油布 ジャンプ〉と検索すれば、合成写真のような跳躍画像が見つかるはずだ)。油布ばりの跳躍に私は、“中谷イズ・バック”と確信した。この日は終始、苦しそうな表情で走っていたが、中谷の場合、苦しい表情はデフォルトなので気にすることはないだろう。