女性セブンのアラカン名物記者“オバ記者”こと野原広子が、世の中の様々な不条理にメスを入れる! 今回はクリスマスをぶった斬ります。
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デパートも、ファッションモールも、商店街も、駅前の小売店も、どこもかしこもクリスマス! 気の早いところは11月半ばからクリスマス。
そのうちテレビをつけたら、おなじみの歌が流れ、「ハッピー・クリスマス」だの「家族で過ごす聖夜」だの。日本全国、臆面もなく12月24日を目指して、盛り上げる。
日が落ちるのを待ちかまえて、街中にLEDのイルミネーションが灯り出したのは、数年前から。LEDで電気代が激安になり、500球つけても月100円くらいなんだってね。おかげで、街路樹から足元の低木まで、見境なく電線を巻き付けて、夜も昼のよう。いくら木の葉が落ちた季節とはいえ、二酸化炭素を吸収して酸素を出すという、植物の営みをどう思っているの!
◆カップルが道をふさぐイルミネーション街道でニラまれる
このシーズンがケタくそ悪い理由はもっとある。植物に大迷惑の光の真ん中を機嫌よく歩くのは、家族になるかもしれない男女と、家族に内緒の男女と、若干の夫婦のみ。
私らひとり者は“シングルベル”だ、“クリぼっち”だといわれ、光の中に入るべからず、とは書いてないけど、まあ、そこにいるだけで気まずいのよ。
“世界はふたりのためにある”とばかり、ぴったりくっついて道をふさいで歩く男女を、さてどうする。速足で追い抜こうと足を速めても、そこは“ぼっちオバさん”。気持ちばかり先走って、カラダはそこに残ったまんまの幽体離脱現象。よし、もう少しと、カップルの背中に迫ったところで、振り返ってギロリとニラまれたりして。もう、私が何したっていうのっ!
◆クリスマス限定メニューですけど、よろしかったですか?
それだけじゃない。気に入らないのはクリスマスメニューってやつ。いつだったか、仕事帰りに空腹を満たそうと、入口に派手なツリーを飾った洋食屋に入ったら、「本日はクリスマス限定メニューですけど、よろしかったですか?」ときた。店内を見渡すと、カップルと、職場仲間らしい男女でほぼ満席。
「いいですけど」
カウンター席に案内され、メニューを開いたところで、愕然としたね。食事は3種類のコース料理だけで、いちばん安いのが鶏もものローストコースで3800円もするんだもの。仕方なく注文すると、さんざん待たされたあげく、鶏肉の芯が生焼けだったのよ。文句を言おうにも、「少々お待ちください」ばかりで、席に来やしない。
頭に来たから、生焼け部分がよく見えるように中央から切って、レジでその旨を話すと、「すみません。お勘定はいいです」だって。そういう問題?
“クリスマスケーキ世代”の私は、「25になったら売れ残り」と脅かされ、24才で駆け込み結婚して4年で離婚。アラカンの今まで、聖夜には呪われ続けよ。
※女性セブン2017年1月1日号