医療の進歩によってペットの長寿を実現する体制は整いつつあるが、それでも飼い主のサポートは必要不可欠。我々がやるべきは、一体どんなことだろうか──。
ペットの健康を考える上で、最も重要なのは食事だろう。まず最もやってはいけないのが人間と同じ食べ物を与えることだというのは、『イヌを長生きさせる50の秘訣』(SBクリエイティブ刊)の著者でウスキ動物病院院長の臼杵新氏だ。
「人間と同じものをペットに与えると、たんぱく質が不足し、塩分が過多になるなど、バランスの悪い食事になってしまう」
そうなると心強いのはペットフードの存在だ。だが、ペットショップに行けば無数のペットフードが並んでおり、どれを選んでいいか、正直分からない。臼杵氏の解説。
「『総合栄養食』という犬や猫が必要とする栄養素をすべて含むフードを選ぶといいでしょう。これは新鮮な水とともに与えるだけで健康が維持できるように栄養バランスが保たれているフードです。日本では米国資飼料検査官協会(AAFCO)の基準をクリアしたフードだけが『総合栄養食』と表示できる。
ペットフードは種類、大きさ、年齢、体調、さらには病気別、症状別など細かく分かれている。ただ餌をやるという行為ではなく、ペットとのコミュニケーションとして、さまざまなフードを試しながら、そのペットにあったフードを見つけましょう」
またキャットフード、ドッグフードともにウエットとドライの2種類がある。
「ウエットは素材の味を活かすという利点があるため、嗜好性が高い犬、猫でも食べやすい。その代わりドライに比べると、栄養素は低く、また保存料も多いといわれている。またウエットは水分量が70%前後なのに対して、ドライは7%前後しかない。猫は水分摂取量が少なく、泌尿器系の病気に罹りやすいといわれているので、ウエットの方が良いとされています」(同前)
※週刊ポスト2016年12月23日号