前立腺がんは、進行がゆっくりしており、5年後に命に関わるものは全体の約3分の1で、それ以外は15年後に命に関わるかどうかなので、焦って治療することはないといわれる。治療法は前立腺の全摘手術、放射線治療、ホルモン治療と多岐にわたり、年齢や進行度により選択する。
早期から転移のない進行がんを含む約90%が治療により治り、残りの10%のうち5%は判定保留だが、命が脅かされるものではなく、残りの5%が再発と転移を起こすと推計される。ただし、放射線治療後に再発するとホルモン治療しか選択肢がないため、新しい治療として注目されているのが凍結治療だ。
東京慈恵会医科大学附属病院泌尿器科の三木健太医師に話を聞いた。
「凍結治療は、腎がんに対して2000年から実施され、私もそれに関わっていました。外から前立腺がんに対して針を刺し、ガスを注入してがん細胞を凍らせて死滅させます。海外ではすでに前立腺がんに対する凍結治療が行なわれていたので、昨年から臨床研究として5例に実施しました」
臨床試験に参加したのは、放射線治療後に局所再発した50歳から85歳未満のホルモン治療をやっていない5人の患者だ。海外の研究では、前立腺全部を凍結させると合併症リスクが高いとの報告があり、局所再発がんに絞っている。5人の内訳は小線源治療が2人、放射線外部照射と小線源併用が1人、重粒子線と陽子線治療が各1人だ。