株主優待ブームは衰えを知らず、2016年も上場各社の優待新設や拡充が相次いだ1年だった。2014年に当連載がスタートした当時は、ほぼすべてのニュースを紹介できたが、現在は掲載しきれないことも増えたほどだ。
優待の新設や拡充の背景には、株価上昇や安定株主の確保などさまざまな狙いがあるが、いずれにしろ企業の前向きな姿勢を示しており、投資対象候補として一定の評価はできるだろう。2017年の年明け以降も期末に向けて新しい優待の発表が続くと考えられ、優待投資家にとっては楽しみなシーズンが始まる。
ただし、優待内容の変更を繰り返す企業や、業績に見合わない豪華な優待を出す企業には要注意だ。改悪やルール変更があると株価は乱高下し、株主は思わぬ損失を被ることもある。安易に飛び乗らないよう投資の際は十分吟味したい。
さて、今期もバラエティ豊かな優待の新設が相次いだ。ヒロセ通商が新設した優待は、FX投資家に大人気を呼んでいる同社のキャンペーンで贈られているグルメ商品だ。動画視聴の自社サービスを利用できるブロードメディアも企業側の負担が少ないうえ、PRも兼ねる優待の好例といえるだろう。
以下、主な新設優待を紹介しよう。
●大王製紙(東証1部・3880)
「エリエール」ブランドで知られる製紙メーカー。自社商品詰め合わせの優待を新設した。優待対象は300株から。
【優待内容】300株以上1000株未満:1000円相当の自社製品 1000株以上:同2000円相当(3月末、年1回)
●ヒロセ通商(東証ジャスダック・7185)
独立系FX大手。FX取引量に応じて投資家に贈っているグルメキャンペーン商品を、株主優待としても提供スタート。
【優待内容】100株以上1000株未満:キャンペーン商品1万円相当 1000株以上:同3万円相当(9月末、年1回)
●萩原工業(東証1部・7856)
岡山の合成樹脂製品メーカー。保有株数と保有期間に応じてクオカードやグルメ商品、寄付などを選べる優待を新設。
【優待内容】100株以上500株未満:1000円相当の商品 500株以上:3000円相当の商品(いずれも3年以上継続保有で倍額に増額)(10月末、年1回)
●ブロードメディア(東証ジャスダック・4347)
コンテンツ配信事業。子会社ハリウッドチャンネルが提供するオンラインレンタルビデオサービスで利用可能なポイントの優待を新設。
【優待内容】1000株以上5000株未満:「クランクイン!ビデオ」で利用可能なポイント1000円相当(1年以上継続保有で1500円相当) 5000株以上:同4000円相当(1年以上継続保有で6000円相当)(3月末、年1回)
■文/森田悦子(ファイナンシャルプランナー・ライター)