フジテレビの社会部記者が暴力団関係者に車の名義貸しをしていた疑いが判明した。12月19日夜に、フジテレビがその事実を公表する予定だが、12月21日発売の週刊ポストでは、フジテレビの発表に先駆けて問題の社会部記者A氏(31歳)に直撃取材を敢行しており、その詳細をリポートしている。
A氏は、警視庁担当、司法担当などを務めてきた人物。横浜市の大口病院で9月に発生した点滴異物混入事件の現場などからリポートする姿が、『FNNスピーク』といったフジの看板ニュース番組で確認できたが、11月中旬には取材の現場から外されていた。
暴力団関係者への利益供与の疑いについてフジテレビが発表する前、週刊ポストの直撃に対し、A氏はこう答えていた。
「ごめんなさい。私からは広報を通してくれとしか申し上げられないのです。会社を含め、警察を含めの話が進んだら、対応ができると思いますので……」
A氏は約10分の取材中、27回も「広報を通して」を繰り返した上で、「現状を申しますと、取材活動はしていません」と語った。以下はその一問一答だ。
――名義貸しをしたのですか。
「すみません。会社の広報を通していただけますか」
――やっていないと?
「ちょっと、それについてもお答えできないことになっておりまして……」
――仮に情報収集の過程で反社会的勢力に名義貸しをしたとなると、テレビ報道への信頼を損なうとは?
「そうですね、はい。でも、そこについても、いまは広報を通してくださいとしか、いまの私の口からはいえないのです……」
週刊ポストの直撃取材、確認取材がなければ、フジテレビは何も発表せずに事態の収拾を図ろうとしていたのだろうか。報道機関としての姿勢が問われる問題だ。