平尾昌晃とのデュエット曲『カナダからの手紙』で大ブレイクし、にっかつロマンポルノにも出演した歌手・畑中葉子が、1983年に発売された写真集『幻視の牡丹』(集英社刊)の思い出と、近況を語る。
* * *
1978年に『カナダからの手紙』でデビューしてから、紅白歌合戦出場、翌年に結婚と離婚を経験し、1980年に発売した『後から前から』が大ヒットしてにっかつロマンポルノに出演……この写真集は、そんなめまぐるしい日々の後に撮影したものです。
事務所に黙って作曲家の卵と結婚したことで世間から大バッシングを受けましたが、8か月でスピード離婚してさらに批判を浴びました。3か月ほど家の外に出られないほどでしたが、週刊ポストで撮影していただいた水着グラビアが話題になって『後から前から』発売につながっていったんです。
写真集のロケ地は香港。郊外の農村やネオンが輝く繁華街で撮影しました。ヌードは写真家とモデルが創る芸術だと思っているので、中途半端なことだけはしたくなかった。すでに写真集を1冊出していましたが、女性らしさがしっかり出ているこの作品が一番のお気に入りです。
1991年に再婚して芸能活動を休止し2児を育てた後、2010年に大手芸能事務所で活動再開したのですが、歌う場所がほとんどありませんでした。そこで2013年から個人でライブ活動に力を入れ、2014年に「後から前からTシャツ」を200枚作ったらテレビなどで取り上げていただいて完売。再ブームの波に乗って『後から前からBOX』も発売できました。
今では、若い女性アーティストのライブなんかにも呼んでもらいます。ライブでは、『後から前から』『もっと動いて』『癖になりそう…』の3大“攻め曲”を歌うと一番盛り上がりますね。もうグラビア撮影をすることはないでしょうが、歌はお墓に入るまで続けていきたいです。
【プロフィール】畑中葉子(はたなか・ようこ):1959年、東京都八丈島生まれ。1978年に平尾昌晃とのデュエット曲『カナダからの手紙』でデビューし、同年紅白歌合戦に白組で出場。翌年、『ロミオ&ジュリエット’79』でソロデビュー。1980年、にっかつロマンポルノ『愛の白昼夢』に出演。主題歌を歌った同年の主演映画『後から前から』が空前のヒットとなる。
19年間の休止期間を経て、2010年に活動再開。2014年にソロデビュー35周年を記念した『後から前からBOX』を発売。歌を中心に精力的な活動を続ける。ノイズロックバンド「非常階段」とコラボした『畑中階段』が12月14日発売。「畑中階段ノイズ新年会」を2017年1月6日に東京・四谷アウトブレイク、1月15日に大阪・難波ベアーズにて開催。2月4~13日にはナガシマリゾート湯あみの島・畑中葉子歌謡ショウに出演。
※週刊ポスト2016年12月23日号