ペットにも高齢化問題はある。最近では、様々な事情で行き場を失った犬を預かってくれる「老人ホーム」ならぬ「老犬ホーム」というサービスが誕生している。熊本県菊池市で老犬ホーム「トップ」を運営している緒方心代表は犬が預けられる背景をこう語る。
「当施設で預かっている犬は、飼い主さんが入院・入所で飼えなくなったというケースが6割で、認知症による“夜鳴き”が手に負えなくなったというのが3割。残りの1割は、飼い主さんが高齢になり、比較的大型の犬を介護できなくなったというケースです」
全国にある老犬ホームは、それぞれ特色がある。「トップ」の場合は250坪の芝生ドッグランが自慢で、毎日更新されるブログで預けた愛犬の様子をチェックすることができる。
ユニークなのは、群馬県利根郡の老犬ホーム「水上温泉寶ホテル」だ。元ホテルを活用した施設で、宴会場を室内ドッグランとして開放している。さらに、愛犬は温泉に浸かってのんびりできる。
利用料は施設によってまちまちで、預かり期間によっても変わるが、終身預かりプランになると百万円単位の金額になる。
愛する“家族”と少しでも長くいたい──。そのためなら何でもしたいというのが、飼い主の“親心”だろう。
※週刊ポスト2016年12月23日号