国際情報

なぜ日本で「支那」が憚られるも海外で「China」がOKか

評論家の呉智英氏

 英語で中国のことを「China」と呼ぶにもかかわらず、「シナ」と呼ぶことがはばかられる世の中になっている。評論家の呉智英氏が、なぜ日本では「中国」と呼ぶことが強制されるようになったのかについて解説する。

 * * *
 沖縄における機動隊員の「土人」「支那人」発言がジャーナリズムの一部で今も批判の的となっている。しかし、よく観察してみると「土人」批判が中心となり「支那人」批判は勢いを減じている。「支那人」批判が論理的に成り立たないと気づきだしたのだろう。「東シナ海」も「インドシナ半島」も、これらジャーナリズム自身が使っているのだから。

「支那」「支那人」が禁止され、「東シナ海」「インドシナ半島」(支那かシナかは、単なる用字の違い)が許されている矛盾に気づけば、真実は容易に分かる。これは国家権力による言論抑圧なのである。

 敗戦期の1946年、連合国占領下の言論統制策の一環として、原爆の被害報道や米兵の犯罪報道などとともに「支那」使用が禁止されたのだ。同年六月の外務省局長通達が、この言論弾圧の法的根拠である。その文書の中に、「東支那海」などは可とあるから、これらは許されているのだ。

 では、支那は、なぜ日本に「中国」を強制したのか。支那が世界の「中心の国」であり、日本(朝鮮やベトナムも)はその属国だと認めさせたいからだ。「中華思想」「華夷(かい)秩序」である。しかし、イギリスやフランスやドイツに、支那は世界の中心だからChinaではなくCentral Landと呼べとは言えない。それ故、欧米では「支那」が通用している。

 夷(えびす)として差別されている日本人が、嬉々としてこれを受け容れ、この差別を批判する人たちを差別者であると誹謗する。歪んだ“正義”が言論界を支配している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン