国内

ニセ警官に扮し金塊強奪した「福岡6億円事件」の犯人像

金6億円分はおよそ120kg(写真はイメージ)

「警察だ。中身を見せろ」「密輸品だということは分かっている」──。突然の職務質問に、男たちは持っていたアタッシェケースを渡した。中に入っていたのは約120キロ、6億円に相当する金塊だった。

 ところが、それを受け取った“警官”らは、男たちが目を離した隙に車に積みこんで一目散に逃げ出した──。

 2016年の最後に発覚したのは、往年の「3億円事件」を彷彿させる衝撃的な強奪事件だった。事件が起きたのは2016年夏、白昼のJR博多駅・筑紫口付近の路上だったという。

「被害に遭った男らは金塊について『盗難される前日に換金目的で買い取ったもの』と説明しています。貴金属買取店の付近まで車で運搬し、店に入ろうとした一瞬の出来事だった。その用意周到さから、犯人らは男たちの行動を詳細に把握していたとみられています。

 当初は狂言の線も疑われましたが、防犯カメラなどの映像解析から、実際に犯行があったと確認。犯人らが着ていた警官風の服は山口県内で発見され、犯人グループは県外に逃亡したとみられています」(捜査関係者)

 県警捜査関係者が注目しているのは、2016年3月に、大阪市の路上で、金塊を換金した直後の男性が暴行され、現金約5700万円が入ったバッグが奪われた事件だという。10月に山口組の直系組織「司興業」の組員2人を含む計6人が強盗容疑で逮捕された。司興業は司忍・六代目山口組組長が創設した団体で、名古屋に拠点を置く。

「類似した犯行の手口から、今回の6億円事件も暴力団関係者が関与しているとみています。すでに捜査員を名古屋方面に派遣しています」(同前)

 謎に包まれているのは犯人だけではない。被害者の行動にも不可解な点が多く、捜査を難航させているという。

「被害者たちは貴金属の転売業者を名乗っているようですが、盗まれてすぐに通報をしたわけではなかった。6億円相当の金塊の入手元も明かしていないようで、犯人が脅し文句にした通り、本当に『密輸品』なのではないかとの憶測まで飛んでいます」(県警キャップ)

 1968年に起きた「3億円事件」は戦後最大の未解決事件となった。犯人も被害者も謎だらけの「6億円事件」は、金額だけでなく、謎の深さも倍増していた。

※週刊ポスト2017年1月1・6日号

関連記事

トピックス

ミスタープロ野球として、日本中から愛された長嶋茂雄さんが6月3日、89才で亡くなった
長島三奈さん、自身の誕生日に父・長嶋茂雄さんが死去 どんな思いで偉大すぎる父を長年サポートし続けてきたのか
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
金髪美女インフルエンサー(26)が “性的暴力を助長する”と批判殺到の「ふれあい動物園」企画直前にアカウント停止《1000人以上の男性と関係を持つ企画で話題に》
NEWSポストセブン
逮捕された波多野佑哉容疑者(共同通信)。現場になったラブホテル
《名古屋・美人局殺人》「事件現場の“女子大エリア”は治安が悪い」金髪ロングヘアの容疑者女性(19)が被害男性(32)に密着し…事件30分前に見せていた“親密そうな様子”
NEWSポストセブン
マッチングアプリぼったくり。押収されたトランプやメニュー表など。2025年5月15日、東京都渋谷区(時事通信フォト)
《あまりに悪質》障害者向けマッチングアプリを悪用した組織的ぼったくりの手口、女性がターゲットをお店に誘い出し…高齢者を狙い撃ちする風俗業者も
NEWSポストセブン
ブラジル公式訪問中の佳子さま(時事通信フォト)
《佳子さまの寝顔がSNSで拡散》「本当に美しくて、まるで人形みたい」の声も 識者が解説する佳子さま“現地フィーバー”のワケ
NEWSポストセブン
天皇皇后両陛下の「慰霊の旅」に同行された愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、皇室とご自身の将来との間で板挟み「皇室と距離ができればこうした仕打ちがある」という前例になった眞子さんの結婚 将来の選択肢を“せばめようとする外圧”も 
女性セブン
“じゃないほう”だった男の挑戦はまだまだ続く
「いつか紅白で『白い雲のように』を歌いたい」元猿岩石・森脇和成が語る有吉弘行との「最近の関係性」
NEWSポストセブン
白鵬の活動を支えるスポンサー企業は多いと思われたが…
白鵬「世界相撲グランドスラム」構想でトヨタ以外の巨大スポンサー離反の危機か? “白鵬杯”スポンサー筆頭格SANKYOは「会見報道を見て知った。寝耳に水です」
週刊ポスト
6月13日、航空会社『エア・インディア』の旅客機が墜落し乗客1名を除いた241名が死亡した(時事通信フォト/Xより)
《エア・インディア墜落事故》「ボタンが反応しない」「エアコンが起動しない」…“機内映像”で捉えられていた“異変”【乗客1名除く241名死亡】
NEWSポストセブン
ロスで暴動が広がっている(FreedomNews.TvのYouTubeより)
《大谷翔平の壁画前でデモ隊が暴徒化》 “危険すぎる通院”で危ぶまれる「真美子さんと娘の健康」、父の日を前に夫婦が迎えた「LAでの受難」
NEWSポストセブン
来来亭・浜松幸店の店主が異物混入の詳細を明かした(右は来来亭公式Xより)
《“ウジ虫混入ラーメン”が物議の来来亭》店主が明かした“当日の対応”「店舗内の目視では、虫は確認できなかった」「すぐにラーメンと餃子を作り直して」
NEWSポストセブン
金スマ放送終了に伴いひとり農業生活も引退へ(常陸大宮市のX、TBS公式サイトより)
《金スマ『ひとり農業』ロケ地が耕作放棄地に…》名物ディレクター・ヘルムート氏が畑の所有者に「農地はお返しします」
NEWSポストセブン