2016年は選挙イヤーであり、政治家の“珍発言”も数え切れないほどあった。萩生田光一・官房副長官が野党の国会対応を「田舎のプロレス」と発言したり、麻生太郎・副総理兼財務相は「90歳になって老後が心配とかいってる人がテレビに出ていた。いつまで生きてるつもりだよ」などはその代表格。
7月に参院選、東京都知事選、9月には民進党代表選が行なわれ、さらに衆院の解散風も吹きまくり、それとともに「2016年政治家失言大賞候補」とも言えそうな失言の数々が発信された。
熊本地震(4月14日)が発生すると自民党内には安倍首相が震災を理由に消費税増税を再延期し、復興予算を組んで衆参ダブル選挙に持ち込むという見方が強まった。それを見透かしたように片山虎之助・おおさか維新の会(現・日本維新の会)共同代表から仰天発言が飛び出した。
「終盤国会になってから熊本・大分の地震が起こりまして、これがずっと長引いていますね。ダブルになるのかならないのか、消費税を上げるのか上げないのか、全部絡んでくるんですね。大変タイミングのいい地震」(4月19日のおおさか維新の両院議員懇談会)
被災地は苦しんでいるのにそりゃないでしょう。
安倍首相は最終的にダブル選挙を断念、有権者の参院選への関心は急速に薄れ、かわりに全国的な盛り上がりを見せたのが東京都知事選の小池劇場だ。
「崖から飛び降りる覚悟です」と、小池百合子氏が出馬表明すると、増田寛也氏を擁立した自民党東京都連との非難合戦が勃発。
「都連はブラックボックスだ」(小池氏)
「私の見渡した限り、そんな大きな箱は、小さい箱も含めてない」(石原伸晃・都連会長)
流れを変えたのは石原パパこと石原慎太郎・元都知事のこの一言。
「大年増の厚化粧がいるんだな。やっぱり厚化粧の女に任せるわけにはいかない」(7月26日の増田氏の決起集会)
これが女性有権者の怒りを買い、勝敗は決した。都知事選に決定的な影響を与えたという面で「失言大賞」の有力候補だろう。
※週刊ポスト2017年1月1・6日号