毎年、年の瀬になると街のあちこちで耳にするベートーベンの交響曲『第九番』。ちょっと敷居が高い気がするものの、この時期になると、いつか“オーケストラデビュー”したいと思っている人も少なくないよう。そんな人のために、気後れせずデビューを飾れる“オケのいろは“をお伝えする。
◆4種類の楽器のパートからなる
オーケストラとは、弦楽器や木管楽器、金管楽器、打楽器の編成による管弦楽団のこと。
「オーケストラは、さまざまな種類の楽器が集まり、指揮者とともに一つの音を作ります。個々の演奏家が、与えられた役割の中で、自らの音楽を主張しながら、周りと協力・協調することが必要とされ、まさに“社会の縮図”なのです。そんなオーケストラでいちばん多いのが、弦楽器のバイオリンです」(読売日本交響楽団〈以降、読響〉制作部主任の大久保広晴さん)
バイオリンの客席側のいちばん前、つまり指揮者にいちばん近いところに座っている人はコンサートマスター(略してコンマス)と呼ばれ、オーケストラ全体をまとめる、とても重要な人物だ。読響コンマスの小森谷巧さんは、こう説明する。
「コンマスは、演奏をしながら指揮者の動きを見て楽団員に体の動きで合図をしたり、オーケストラの代表として曲の進め具合や曲の解釈を指揮者とともに決めたりもしています」(小森谷さん、以下「」内同)
コンマスは、技術だけでなく、人柄も重視される。
「楽団員とこまめにコミュニケーションをとり、みんながどのような考えを持っているかを知るなど互いの理解を深めています」
ちなみに、そんな小森谷さんも出演する『読売日本交響楽団「第九」特別演奏会』は12月26日19時から、東京オペラシティコンサートホール(東京・初台)で開催される。