いよいよお待ちかねのクリスマス。コンビニ業界では、すっかり風物詩となった“チキン商戦”が今年もヒートアップしている。『セブン-イレブンは日本をどう変えたのか』(双葉社)の著者でコンビニジャーナリストの吉岡秀子氏が、大手コンビニ各社の一押しチキンを徹底調査する。
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今年は、カレンダーが23(祝)・24(土)・25(日)の三連休とあって、家族や友人と“クリスマス3days”を存分に楽しもうと計画している人が多いだろう。こうした消費者心理を、もちろんコンビニ各社は1年前から読んでいる。新しいチキンメニューを練り続け、発売中の新チキンは例年以上の力作ぞろいだ。
ビッグニュースは、セブン-イレブン(以下セブン)が満を持して骨つきチキンの「ななチキ」を投入したこと。同社によると「チキン全体の販売は前年の5割増しになっている」というから、商戦の台風の目になっていることは間違いない。
各社のイチオシチキンを紹介する前に、取材を通して見えてきた今年のコンビニチキンのポイントを上げておこう。大きく2つある。
まず、「脱・ケンタッキーフライドチキン」の傾向があると見た。主に味つけのことだ。セブン・ファミリーマート・ローソン・ミニストップ、4社の新作を食べてみたが、いずれもハーブやスパイスを絶妙なバランスで配合し、独自の味を出しているものの、スパイシー感は控えめになった気がする。
「子どもから高齢者まで、幅広いお客様に召し上がっていただきたい」(セブン・チキン開発担当者)
「家族で楽しめるよう、お子さんも楽しめる味の仕立てに変更した」(ローソン・チキン開発担当者)
という言葉どおり、鶏肉本来のジューシーさを前面に出し、食べ応えがありつつ、やわらかい肉感に仕上げたものが多い。背景にはコンビニ客層の変化がある。来店客の男女比は、もはや五分五分に近い。加えてシニア客も増えている。若い世代が好む「ガツンとくる味」だけでは数字は取れない。