糖尿病、高コレステロール、脳梗塞、痛風。これらの生活習慣病にかかわる薬を「飲み続けてはいけない」と過去に報じた『週刊現代』の主要な論拠は、薬の「副作用」が患者に重大な影響を及ぼすため、服用を止めるべきだというもの。
こうした報道を受け、本誌も医師・薬剤師に見解を聞いた。五本木クリニックの桑満おさむ院長は、「薬に副作用があるのは当たり前。どれも処方にあたって医師が注意するものが多く、患者の判断で薬を止めるのは危険です」と主張する。具体的に見ていこう。
■糖尿病
糖尿病薬で代表的なのが、ジャヌビア、エクアなどの「DPP-4阻害薬」だ。
これらの薬に対して『週刊現代』は、副作用として、血糖値を正常な範囲より「下げすぎる」と指摘。その結果、神経細胞に障害が発生して認知機能を低下させると警告した。だが、専門家はこの説に否定的だ。
「今は家庭内に簡単に血糖値を測定するキットがあり、患者が自分でリスクを感知できます。むしろ低血糖を怖れるあまり服用をやめ、高血糖状態が続くほうがリスクが大きい」(桑満氏)
■痛風
痛風治療薬であるザイロリックについては、腎機能の低下している高齢者は薬が排泄されないことがあるため要注意としている。この指摘についてはどうか。
「ザイロリックは体内で作られる尿酸の量を減らす薬です。そもそも尿酸値の高さを判定するには血液検査が必要であり、その際に腎機能が正常かどうかわかります。腎機能に異常があるのにザイロリックが処方されたとすれば、薬ではなく医師の問題です。ただ、今はフェブリクという副作用の少ない薬を処方するケースが多い」(桑満氏)
桑満院長が指摘する通り、薬には必ず副作用がつきまとう。大事なのはリスクとベネフィット(利益)を天秤にかけて、判断すること。「飲み続けてはいけない」と盲信するのは危険だ。
※週刊ポスト2017年1月1・6日号