1トロイオンス(31.1グラム)=1300ドルを超える勢いをみせていた金相場もトランプ氏の当選以来、下落基調にある。こうした状況の中、日本人はどのような投資戦略を持つべきか、金の動向に詳しい豊島逸夫氏が解説する。
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金はそもそも生産量が限られるなか、不安要因の事欠かない世界情勢もあって、長期的な上昇シナリオは十分考えられる。だからこそ私は「ドル建て金価格は2020年までに1700ドルに達する」という長期見通しをかねてから立てており、現在は2016年から始まった長期上昇トレンドの最中にあると位置付けている。
ましてや2017年は「ドル安円高」トレンドが見込まれる。円高と聞くと、デメリットばかりに思えるかもしれない。とりわけ円建て金価格で取引する日本人にとっては、ドル建て金価格が上昇しても円高で相殺されるため、短期売買ではうまみがないだろう。
しかし、先まで見通せば、2017年はドル建て金価格が上昇しても円建て金価格は円高でさほど上がらないので、むしろ金を割安で買える好機といえるのだ。
加えていうと、2017年は円高トレンドだとしても、それは短期的な見方にすぎない。少子高齢化をはじめ日本が抱える諸問題を考えると、今後は円売り要因ばかりが目立ち、長期的には円安傾向にならざるを得ない。
そうなると、仮に今後ドル建て金価格が2000ドルに達し、控えめに見ても1ドル=120円となった場合、国内金価格は1グラム当たり7000円を突破してもおかしくないのである。
もっとも金は市場で取引される以上、価格変動リスクは常に付きまとう。トランプ大統領誕生のように「まさか」の事態はいつ起こることも限らない。
だからこそ、こと金投資においては少しずつ「純金積立」で買いためておいて、長期保有することが鉄則といえる。一見地味に映るかもしれないが、「純金積立」にはまとまった資金で買い増すことができる「スポット購入」という方法もある。金価格が下落した際、試しに買い増してみるくらいのスタンスで臨むことができれば、将来の大きな果実につながるに違いない。