冬に旬を迎える「りんご」は、バラ科リンゴ属の果物で、アダムとイブの物語にも登場するほど歴史が古い。紀元前6000年頃にはトルコで登場しており、紀元前1300年にはエジプトで栽培されていたとされる。日本で本格的な栽培が始まったのは明治時代である。
りんごの旬は9~11月頃だが、一年中流通しているのは「CA貯蔵法」という技術のおかげ。りんごを収穫時そのままで仮死状態で長期保存することが可能なため、一年を通して安定供給を確保できるのだ。
「りんごが赤くなると医者が青くなる」の比喩通り、りんごは栄養の宝庫。豊富に含まれるペクチンが胃腸を整え、アレルギー性疾患の予防効果も報告されている。さらに抗酸化作用のあるポリフェノールの一種「カテキン」や「ケルセチン」など、高血圧や動脈硬化、ひいてはがん予防にも有効とされるスーパー果実だ。
家庭料理研究家の松田美智子さんは、りんごについてこう説明する。
「そのまま食べるのにもお料理にも、甘みがほどよい“ふじ”が使いやすいかなと思います。やはり旬のりんごはみずみずしさが違いますから、まずはそのままかじりついて、あとはせん切りにしてシンプルな箸休めに、そして焼きりんごにして冷蔵庫で冷やして作り置きデザートに…。楽しみが尽きない冬の恵みです」
◆りんごの準備
りんごをそのままサラダなどで使う際は、ていねいに長さと太さを切り揃えることが肝要。シャリシャリとした歯ざわりが身上なので、ばらつきがあると意外と気になる。また見た目も荒れる。切り揃えたら塩水に放してアクを抜き、変色を防ぐ。ちなみに丸ごと保存する際は、必ず個別にラップやポリ袋に入れて冷蔵庫へ。植物ホルモンのエチレンを発するりんごは、他の青果と一緒にするとその成熟を促して劣化を早める働きがあるためだ。
◆りんごサラダのレシピ
【1】大きめのふじりんご1個は皮ごと4面に見立て、5mm厚さに面を落とすように切り、芯は処分する。
【2】【1】を重ねて5mmの棒状に切り、薄い塩水にさらす。水を切り器に盛り、みじん切りにしたローズマリー大さじ1を合わせる。
【3】オリーブ油大さじ2、バルサミコ酢大さじ1、白こしょう少量を混ぜてドレッシングを作る。【2】に混ぜかけていただく。
※女性セブン2017年1月5・12日号