2016年政界の「失言・珍言大賞」を決めようと振り返ると、様々な発言が飛び出してくる。なかでも、大臣室で業者から現金50万円入りの封筒を2回受け取ったとして辞任に追い込まれた甘利明・前経済再生相の言葉も忘れるわけにはいかない。
「政治家の事務所はいい人だけと付き合っているだけでは選挙に落ちてしまう」
辞任会見(1月28日)でそんな“泣き言”を漏らした後、睡眠障害を理由に半年近くにわたって自宅療養。野党側は甘利疑惑を安倍政権への攻撃材料と喜び勇んだものの、民主党(当時)の中川正春・元文科相が「安倍首相の睡眠障害を勝ち取ろう」(2月16日の民主、維新両党の合同代議士会)とアジって逆批判を受け、追及は尻すぼみ。なんともしまらない国会攻防に終始した。
野党がだらしがないから、年金カット法案やカジノ法案で与野党がぶつかった秋の臨時国会でも終盤まで閣僚らの失言が止まらなかった。
山本有二・農水相はTPP(環太平洋経済連携協定)承認案の強行採決発言で野党の批判を浴びながら、まるで蛙の面にしょんべん。
「この間冗談をいったら、閣僚をクビになりそうになった」
と同僚議員のパーティ(11月1日)で笑い飛ばして不信任案まで食らった。
萩生田光一・官房副長官も負けてはいない。野党の国会対応を「田舎のプロレス」と揶揄。同じ自民党のプロレス出身議員・馳浩氏から「オレと勝負するか」とスゴまれると陳謝した。
※週刊ポスト2017年1月1・6日号