年末の風物詩といえばNHK紅白歌合戦だ。67年の歴史を振り返ると様々なハプニングが起きている。
前代未聞の事件を起こしたのは、1990年(第41回)に初出場した長渕剛だ。同年10月に東西統合を果たしたドイツ・ベルリンから衛星生中継で出場した長渕。
しかし中継が始まった途端「NHKのスタッフはみんなタコ! タコばっかりですわ!」と暴言。そして当初は10分の出演予定だったにもかかわらず『親知らず』、『いつかの少年』、『乾杯』と3曲を熱唱し、計17分30秒と押しに押した。
この長渕の“大暴走”によりその後の出演者は2コーラスを1コーラス半に短縮。応援合戦も中止となり、大トリの森進一でさえ大幅に歌唱時間をカットされることとなった。
「長渕さんの電波ジャック事件はNHK上層部だけでなく、演歌界の大御所たちの逆鱗に触れた。長渕さんはしばらくの間、NHKを“出禁”になった」(NHK関係者)
その後、長渕は2003年(第54回)に13年ぶりに紅白復帰。このときのインタビューでは「正直、あれはあれでよかった。ただ、あの頃の僕は今思うと、ずいぶんと生意気なガキだったと思う」と振り返っている。
ちなみに同年のステージで長渕は『しあわせになろうよ』の1曲のみを歌唱。前回、迷惑をかけた森のバックコーラスにも参加するなど、すっかり“優等生”となっていた。
※週刊ポスト2017年1月1・6日号