上京していた息子が妻や孫をつれて帰省する、家に居つかない息子や娘が、この日くらいはと家で過ごす…。お正月に、普段なかなか会えない家族が集まり一緒に食卓を囲む光景は、昔も今も変わらない。
料理愛好家の平野レミさんの実家でも、正月には家族が集まり、おせちを囲むのが幼い頃からの習わしだった。
「お正月はテレビはつけずに、お琴の曲とかをかけてね。お香をたいて…。みんな新しいお洋服を着て、自分の名前が書いてある箸袋のところに座るの。食卓の真ん中にはすごく立派な重箱があって。母が作ってくれたおせち料理の蓋を開けるのが楽しみだったなぁ」(レミさん)
重箱のなかには、なます、伊達巻き、黒豆、昆布巻きなど、定番のおせち料理が色も鮮やかに収められていた。食通だった父のために、母が腕によりをかけて作ったものだ。
そして2017年、レミさんの家が迎える新年には、普段は別々に住む子供たちも加わり、かつてのお母さんのようにレミさんが作ったおせちを皆で囲む。上野樹里(30才)もその1人。2016年5月にレミさんの長男であるTRICERA TOPSの和田唱(41才)と結婚。“新しい家族”として初めての正月を迎える。
3世代で暮らす大家族が減って核家族が増え、日本人の「食」とそれを囲む「家族の姿」は戦後70年の間に大きく変化してきた。そうした中でも、レミさんの家のように、お正月を昔と変わらずに家族とともに過ごす人は多いだろう。今や当たり前にそこにあるものではなくなった家族の食卓。だからこそ、この年末年始に、食卓を彩った料理からその今昔を振り返ってみる。
1950年代は、和食中心だった当時、カレーライス、グラタン、ホワイトシチューなど洋風料理への憧れがあった。
「かきのカレーライス」
「ホワイトシチュー」
「エビ入りマカロニグラタン」
これらは、2016年11月に放送60年目に突入した『きょうの料理』(NHK)で、最初の放送月、1957年11月に紹介されたメニューだ。