効率よくしようと段取りを考えたりして意外と頭を使うのが家事。脳に好影響を与えることはイメージできるが、「大掃除」が特にいいのはなぜだろう。「脳の学校」代表で医学博士の加藤俊徳さんに、話を聞いた。
「ネットやスマホが定着し、座って画面を見ている時間が増えた現代。体をあまり動かさず、使う手も利き手のみで、運動不足の人も増えています。大掃除は、普段、手の届かないところに目を向けたり、体全体を使って窓を拭くなど、いつもと違った動きをするので脳にはすごく新鮮なんです」(加藤さん、以下「」内同)
「毎日、掃除をしっかりしている!」という人も多いと思うが、日々、同じやりかたで行うルーティーン掃除は、慣れてしまっているため、脳もあまり動かない。
「年末こそ、“慣れ”を吹き飛ばす最大の機会。脳をフル活用させて、脳の疲れと部屋の汚れを取り除きましょう」
掃除をする際に注意したいのは、「ただなんとなくココをきれいにしたいから」と、掃除を始めないことだ。
なぜかというと、掃除を始めたのはいいが、途中で新たな汚れや散らかっているところ、気になる部分を発見すると、どんどんそちらを優先し、最初の場所すら片付かないという結果に終わるからだ。
また、掃除が苦手な人ほど大掃除では張り切る傾向があり、完璧を求めるあまり、掃除しきれないまま、時間切れということも多い。
「まず、掃除を始める前に、部屋を一周し、隅々まで見渡してみることが特に大切です。ほとんどの人は、普段、部屋の中を見ているようでも、見ている範囲が狭いもの。特に、手抜き掃除を続けている人は、脳を使う部分を減らすことになり、脳科学的にはマイナスです。 チェックする際には、ただ漠然と汚れや散らかり具合を判断するのではなく、下のようなチェックリストを用意して書き込みながら、現状を把握しましょう」
チェックリストは、部屋ごとに床や壁、天井、窓などの部屋の構造部分や、家具、家電、調度品など、主なものを書き込み、それぞれの汚れ度を、重症から軽症までの3段階で評価。
さらに、「ホコリが多い」「シミあり」「ドアの取っ手がグラグラ」など、汚れの種類や気になるポイントも書き込んで。
「リストに書き込み、汚れ度を“見える化”することで、視覚系脳番地が刺激されます。またこの作業は、家族全員で力を合わせてやるのも有効。会話しながらのチェック作業はとても楽しく、感情系脳番地の刺激になります。さらに、実際に掃除をする時も協力しやすく、家族の連帯感も高まります」
※女性セブン2017年1月5・12日号