為替市場ではコンピューターによる自動売買の取引の比率が高まり、短時間で大きく値が動く傾向が強まっている。そうした状況に個人トレーダーはどう対応すればよいのか、為替のスペシャリストで酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表の酒匂隆雄氏が解説する。
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最近、為替ディーリングの現場で顕著な変化が表われている。それは、「アルゴリズム取引」あるいは「プログラム売買」といわれる、コンピューターシステムが為替レートや出来高などに応じて自動的にトレードを繰り返す取引が増えていることだ。簡単に言ってしまうと、人に代わってコンピューターがディーリングを行なうケースが多くなっているのである。
取引の中身は、値動きのトレンドに沿った「順張り」がほとんどであるため、短時間の値動きが激しくなりやすい。それほど大きな材料になるとも思えないニュースなどで、1日のうちに1円以上動くといったケースが散見されるが、その背景にはアルゴリズム取引の影響があると考えられる。
そうした環境での実際のトレードにあたっては、基本ではあるが、つねにストップロス(損切りオーダー)を置いておくことを心がけてほしい。わずかな時間で思いのほか損失が拡大する可能性があるからだ。同時に、高いレバレッジにしないようにするといった、リスク管理も徹底してほしい。
また、国内の個人投資家は、どうしても円を売って、ドルなどの外貨を買うというポジションをとりやすい。売買する通貨の金利差であるスワップポイントを得たいというニーズが強いため、円が海外通貨に対して下落している局面でも、「円売り/外貨買い」という逆張りで対応することが多い。
だが、そもそもFX(外国為替保証金取引)は自由に通貨の売買ができるというのが大きなメリットである。相場の動向によって、外貨を売って円を買うというポジションを取るのは自然なことといえる。当面、為替相場には大きなトレンドは発生しないとみられるため、「円売り/外貨買い」と「外貨売り/円買い」を使い分けて、小さいトレンドに機動的に対処することが、収益機会を増やすことにつながるはずだ。