新年、初詣に行くと運試しで引くおみくじ。そもそもおみくじとは、どういうものなのだろうか?
「おみくじは中国から伝わってきました」と言うのは、おみくじの研究で知られる愛知県立大学・日本文化学部准教授の大野出さん。
中国から天竺霊籤(てんじくれいせん)が入ってきて、のちに天海(1643年没)が夢のお告げで、元三大師の名で知られた第18代天台座主の良源上人(985年没)からおみくじを託されました。このことから元三大師御籤(観音百籤)と呼ばれるようになり、今でも多くの寺院で使われているという。
「この頃、おみくじは武士が引くもので、戦いの行方などを占うものでした。かの明智光秀は、本能寺の変の前に京都の愛宕山で何度もおみくじを引いて戦局を占ったと『信長公記』に書かれています」
ちなみに、お寺と神社のおみくじの違いは? 大野さんはこう語る。
「ご託宣の文章形式が違います。基本的に寺院が漢文なのに対し、神社のおみくじには和歌が書かれています。おみくじは武士や僧侶が占うもので、彼らは漢文をたしなんでいました。江戸時代までは寺・神社ともに同じものを使っていたのですが、明治時代、神仏分離が政府から言い渡され、神社は寺と違うものを扱うようになりました。
神社で和歌が載せられるようになったのは明治中期。女性解放運動を推進していた、山口県の二所山田神社の宮司が、『女子道』という機関誌を創刊するための資金源として、和歌を載せたおみくじを出したことが始まりです」
このとき創立された女子道社(山口県)では、今でもおみくじを製造し、かなりの生産シェアを誇っている。
※女性セブン2017年1月5・12日号