来たる2017年が良き一年となるかどうか、運を試す気持ちで引くおみくじ。わずかでも自分に向いたその運を生かすには、運勢を正しく読み解く力が必要だ。では、おみくじの正しい読み方とは? おみくじの研究で知られる愛知県立大学・日本文化学部准教授の大野出さんと、15年以上にわたって全国のおみくじを収集・研究している、自称「おみくじマニア」の鏑木麻矢さんに聞いた。
Q:かつては、僧侶しかおみくじを引けなかったって本当?
A:「おみくじはいわば占いで、仏様のメッセージを受けることができる僧侶が引くものでした。それがどんどんカジュアル化し、戦後は、今のように個々人が引けるものへと変化していきました」(大野さん)
今でも、滋賀県・比叡山延暦寺横川の元三大師堂や東京都台東区の長國寺など、僧侶がお経を唱えながら、くじを引くところも残っている。
Q:おみくじで、縁起の良い順番は?
A:大吉と凶の区別はついても、吉と中吉、末吉と小吉の違いを明確に言える人は多くない。鏑木さんによると、運勢のいい方から順に、大吉→吉→中吉→小吉→末吉→凶が一般的。
「神社仏閣によっては大大吉や大凶が加わったり、末小吉、平(普通)、吉凶未分(吉か凶かまだわからない)など見慣れないものも」(鏑木さん)
Q:大吉よりも吉が良いって本当?
A:大吉を引いてラッキー!と手放しで喜ぶ、その前に――。
「良いことしか書いていない大吉ですが、実は凶よりも怖いんです。特に“大吉”には『運勢のピークは今。あとは下がる一方』などと記されていることもあります。昔は、死の危険もあるという恐ろしいことが書かれていたのです」(大野さん)
一方、凶は一見ネガティブのようにも思えるが、よくよく見てみると、『これから運気が上がっていく』というニュアンスのことも書かれているという。
「今は底かもしれないけれど、行いを悔い改めれば、運気は上昇していくというのが凶です。大吉よりもいいのが吉。ほどほどに良い運気で、当面は安心できます。また末吉もこれから吉に向かっていくので、悲観せずに待つといい、という意味が込められています」(大野さん)
「凶がよく出る」として有名なのが東京都台東区の浅草寺。信頼できる筋からの情報によると、100本中の内訳は次の通り。大吉17本、吉35本、半吉5本、小吉4本、末小吉3本、末吉6本、凶30本。なんと、全体の30%が凶だ。そしてこの数字は、おみくじの基となった『観音百籤』に定められている比率と同じだ。
逆に、「大吉や吉が出やすい」神社といわれているのが東京都千代田区の東京大神宮。ここは大吉から小吉までで凶は入れていないという。
※女性セブン2017年1月5・12日号