マンション価格が高騰している。不動産経済研究所の調べによれば首都圏(1都3県)で供給されるマンションの分譲価格は、2012年は戸当たり平均で4540万円(1平方メートル当たり単価/64.5万円)だったものが、2016年上半期には5686万円(1平方メートル当たり単価/81.7万円)とわずか3年半ほどの間に25%以上も上昇をしている。
価格が上がっている、ということはマンションに対する人気が上昇しているから、と思いがちだが、「もう少し冷静に考えてみたほうがいい」と指摘するのは、近著に『こんな街に「家」を買ってはいけない』(角川新書)がある不動産コンサルタントの牧野知弘氏(オラガ総研社長)だ。
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2016年1月から11月までのマンション供給累計戸数は、不動産経済研究所の調べによれば2万8765戸である。前年同期が3万4260戸なので16%も減少している。さらにこれに契約率をかけた契約戸数で比較すると、2015年11月期で累計2万6133戸に対して2016年は、1万9242戸、27%もの大幅な減少となっている。
人気のはずのタワーマンション(20階建て以上の高層マンション)に至っては供給戸数で対前年同期比49%の減少、契約戸数で57%の大幅な減少である。
売れているはずのマンションが、実は大幅な供給減を行っているにもかかわらず契約率が低下し、契約戸数はさらに落ち込んでいるというのが実態なのだ。
それでもマンションは買ったほうが良いのか──。マンションが世に登場して60年、実はマンションは賃借するにはとても良い不動産だが、所有するには多くの問題がある不動産であることが、わかってきた。その5つの理由とは次のようなものである。