2016年11月に放送60年目に突入したNHK『きょうの料理』。番組をどんな内容にするかを考え始めるのは、放送の半年も前。番組制作にかかわっているフリーディレクターの河村明子さんが明かす。
「放送1か月前にテキストを出版するので、それに間に合わせるために写真撮影の準備も含めて早めの進行になります。新しい年度の4月から放送するプログラムは、前年の10月頃には検討を開始します。番組スタッフとテキスト編集部が一緒になって考えて、4月の構成ができたら、さらにその先の月の特集のテーマを決定します。
5月の連休明けには『やりくり献立』、7月には『ダイエット』はどうだろうというふうに。それから出演する講師の候補者を決め、出演交渉して、講師とは具体的にどんな食材を使うかやメニューなど内容を打ち合わせます」
とはいえ半年先のこと。野菜の特集を組んだら、放送日に野菜が高騰してしまっていた、なんてこともあるそうだ。収録の10日ほど前になると、担当ディレクターと講師の相談のうえで台本が書かれる。それからリハーサル分と予備を含めて3~5回分の食材を講師が購入。撮影当日を迎える。
スタジオでは、最初にカメラを回さずに物と段取りを確認する「ドライリハーサル」が行われる。
「『きょうの料理』は編集なしの“一気撮り”なので、カメラリハーサルの時には本番に限りなく近い状態で行えるように、細かいことまで確認します。この作業の時には包丁を使うのか小さめのナイフを使うのかとか、鍋は大きすぎないかとか」(河村さん)
それでもカメラリハーサルでは10分オーバーしたり、逆に5分足りなかったりすることもしばしば。24分間の放送時間の中でピッタリ収まるようにどこをカットするかなどを決めて、いざ本番へ。
「本番では、ほとんどがなんとか時間内に収まるのが不思議といえば不思議ですね」(チーフプロデューサーの大野敏明さん)
それでも、最後の部分でアナウンサーが慌ただしく挨拶したり、「ちょっと試食させていただきます」なんて言って時間調整していることを、視聴者はちゃんと知ってますよ!
※女性セブン2017年1月5・12日号