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ネットで中傷した人を訴える場合、裁判は2度ある

ネット中傷をめぐる裁判は同じ内容が2度繰り返される

 2014年から中国を拠点に仕事をしていた人気マンガ『中国嫁日記』作者の井上純一氏が、ひと回り以上年下の中国人妻・月(ゆえ)さんとともに日本へ戻ってきた。2015年秋に発覚した、フィギュア部門をまかせていた元ビジネスパートナーによるトラブルは回収できそうなのか。気になるその後と、新たにすすめているネットにおける名誉棄損裁判について、その進め方などについて井上氏にきいた。

 * * *
──中国を引き上げる決心をしたのは、何が原因だったのでしょうか?

井上純一(以下、井上):フィギュア部門から撤退することも理由の一つですが、最大の理由は、家賃が高くなったことです。一年半で家賃が2倍になったんですよ(苦笑)。

 僕たちが住んでいたのは双龍(シャンロン)という深センの地下鉄の終点駅そばでした。東京でいうと、新宿から京王線に乗って終点近く、多摩センターくらいの感じだと思ってもらうと近いです。入居した当時は土地が安くて家賃も安かったんです。もう中心部では土地バブルが起きていたのですが、それがどんどん田舎へも広がっていき、とうとう僕らが住むところにもやってきた。

──2年もたたずに家賃をそんなにあげられるのですか?

井上:売れると思っているから強気です。5000万円以上で売るから出ていってくれといわれて引っ越しを決めたけれど、誰も買わないだろうと思っていました。土地の価格が上がるのを見込んで、売りたい人ばかりになっていましたから。結局、僕が住んでいたところも売れないままでした。

──とはいえ、中国だと不動産を買うといっても期限付き使用権ですね。

井上:その期限は永遠に伸びると思いますよ。なぜかというと、期限が過ぎた土地を国へ返却させると、土地の売買が滞るからです。経済を停滞させないために、土地使用権の期間を徐々に伸ばすと中国人は信じています。

──日本に拠点をもどしたということは、行方不明になっている会社の資金の回収がしやすくなるのでしょうか?

井上:謎を解明するのは難しい。何しろ、知っているはずの人間が海外に住んでいるので、裁判を起こすのも難しい。

──以前、お話をうかがったときは、生きているのか死んでいるのかもわからない。連絡がとれないと話されていましたが?

井上:生存の確認はできています。でも、裁判というのは、相手のいるところが確実でなければ、そもそも起こせないことになっているんです。ましてや、海外に住所があると、ほぼ不可能です。

──裁判をあきらめたのでしょうか?

井上:違います。まだあきらめていません。でも、諦めることになるかもしれない。逆に向こうが俺のことを訴えてくれれば相手の住所が確定するので、話がすすみそうなんですけどね。ひょっとしたら、向こうの住所かもしれない場所が少し前にわかったんですよ。

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