カリスマFXトレーダー・羊飼い氏が、外為市場の旬な話題をウォッチする連載「FXトレンドフォーキャスト」。羊飼い氏によると、2017年の為替相場が急変しかねないリスク要因は多数存在するという。以下、羊飼い氏が解説する。
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2017年は、為替相場「急変」の引き金となりそうなリスク要因には事欠かない。たとえば、上昇を続ける中国の不動産価格は足元で過熱感を増している。多くの地方政府が住宅購入を制限するバブル抑制政策を打ち出しているが、さほど効果は上がっておらず、いつ「崩壊」のXデーが来てもおかしくない。
また、コモディティ価格は資源国通貨はもちろん為替相場全体に大きな影響を与えるが、アメリカの利上げで金価格が大きく下落することがあれば、深刻なダメージを受ける機関投資家もありそうだ。
原油価格では、OPEC(石油輸出国機構)がようやく減産に向けて動き出してはいるものの、その行方は不透明だ。万一、加盟国の足並みが乱れることがあれば原油価格は再び40ドルを切ることも考えられ、そうなれば為替相場にもリスクオフの暴風が吹き荒れることは避けられそうにない。
可能性としては大きくないが、日本のテーパリング(量的金融緩和の縮小)にも注意を払っておきたい。9月に金融緩和の中心を「量」から「金利の調節」へと変更する新しい枠組みを発表したが、株式市場の反応は鈍く、日銀にはもう切れるカードがなくなっている。
もちろん、黒田東彦総裁がテーパリングを明言することはないだろうが、実質的にもう手詰まりと市場が判断するようなことがあれば、相場は大荒れどころでは済まない。まさに「逆アベノミクス」とでもいうような、深刻な巻き戻しが起こることも想定される。
日本と同様に金融緩和を続けているEUも同じ問題を抱えている。こちらはすでにテーパリングの観測報道が出ており、より現実味を帯びてきている。
アメリカの株式市場も不安材料となり得る。ダウ平均株価はリーマン・ショック以降順調に回復し2016年は史上最高値を更新するなど、7年以上にわたり上昇を続けてきた。
しかし、どんなマーケットも永遠に上がり続けることはなく、上昇幅が大きいほど調整局面での下落幅も大きくなるもので、ダウ平均とて例外ではないだろう。ここ数年、ダウ平均と米ドル/円相場は独自の値動きをすることが多く相関性は必ずしも高くはないが、ダウ平均に大きな調整が起これば当然為替市場は引きずられ、世界的なリスクオフ局面が訪れる可能性は高い。