学生時代はつながりがあったものの、社会人になってからは疎遠になり、というのが以前の人間関係の持ち方。最近では、SNSなどの機能を利用して、かつての友人知人と簡単に連絡を取れるようになった。学生時代の友人は、しがらみや損得勘定なしにつきあえるから楽しいとネットを活用していたら、思わず落とし穴が待ち受けていた。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、ネット時代の友情とカネの顛末について語る。
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地元の仲間や学生時代の友人との交流が、メーリングリスト(ML)やSNSのグループ機能により格段に容易な時代となった。ただし、カネ儲けに使おうと考える輩が登場すると厄介なことになる。
昨今、欲の皮の突っ張った連中をひっかけるビジネスが花盛りである。元々「ネオヒルズ族」みたいな男が登場し、そのノウハウを伝授するセミナーに行ったら高価なDVDを売りつけられた──的な話は各所で存在していたが、「こんなことにひっかかるバカは賢明なる我が知り合いにはいるワケもない(笑)」なんて鼻くそほじくっていたら、なんといた……。
大学時代のサークルの先輩・X氏である(会ったことはない)。昨年9月にこのMLが活用された。そこにはこうある。
〈平凡な〇〇人もの人を億万長者に育てた、大富豪・●●氏の日本初セミナーです〉
本来1万円のセミナーがX氏による招待ということで無料になるのだという。そして12月末、再びX氏からMLに投稿があった。今回は、世界の大富豪4人が来日し、セミナーを行なうという。5000円のチケットがX氏の名前を出せば無料になる。最も高い100万円のチケットは完売済だ。しかも、X氏はFacebookのグループにも同じ投稿をし、参加申し込みページへの誘導を行なっている。
2回目はさすがに「仲間のためのMLを営業メールに使うのはやめたほうがいいのではないでしょうか?」と全員が見られる形で私は返事を書いた。何せ諸先輩方が「大人の配慮」をし、X氏のこの行為に一切注意を与えない。だとすれば、若輩者ながらも不快指数が高まりまくった私が指摘をするしかない。