今年の1月1日から、市販薬の購入がお得になるうれしい新制度がスタートした。その名は“セルフメディケーション税制”。対象商品を年間1万2000円超買うと、所得税と住民税が節税できるシステムで、軽い風邪程度なら、病院で長時間待って診察代と薬代を払うより、時間もお金もお得になるという。
セルフメディケーション税制は、市販薬の購入を国が後押しする制度だ。その目的を大正製薬の東野光宏さんに伺った。
「この制度には、『自分の健康に責任を持ち、軽い不調は自分で手当てしよう』という考え方を浸透させる目的があります。病院に頼らず、市販薬を活用して健康管理をする人には、国が税金を優遇しますよというものなんです」
さらに、国が払う医療費の削減を目指す意図もある。
「新制度は市販薬の購入が年間1万2000円超で申請でき、対象商品も、頭痛薬から風邪薬、便秘薬や軟膏など、幅広いジャンルをカバーしているので、これまでの医療費控除より使い勝手がいいはず」(東野さん)
病院でよく処方してもらう薬がある人は、市販薬に該当する商品がないか薬剤師に聞いてみよう。同成分のものがあれば、病院に行くより市販薬を買った方が得になるかもしれない。
◆これまでとの違いは?
従来の医療費控除は、病院の診察代や薬代、交通費など、治療のためにかかった費用すべてが対象だが、年間で総額が10万円を超えないと使えなかった。一方、新制度となるセルフメディケーション税制は、病院の医療費は含められないが、ドラッグストアなどで対象となる市販薬を、家族合算で年間1万2000円を超えた額を購入すれば利用できる。
◆例/課税所得400万円の世帯で2万円分の控除対象商品を購入した場合
控除対象は1万2000円を超える部分なので、8000円分が所得控除の対象に。確定申告をすると、8000円にかかる所得税と住民税が戻ってくる。課税所得400万円の場合、所得税率は20%なので所得税から1600円、住民税(一律10%)から800円が戻り、合計2400円が戻ってくる。
※女性セブン2017年1月19日号