ピアニストとしても活動する松井咲子がFX(外国為替証拠金取引)を学ぶこのシリーズ。毎回、セントラル短資FX代表取締役・松田邦夫さんを迎えて、FXでお馴染みの通貨の文化的背景を探っていきます。今回取り上げるのは、日本とは季節が裏返しの南半球の国々です。
◆南半球ってなんだかエキゾチック
松田:今年の8~9月はブラジル・リオでの五輪大会で大いに盛り上がりましたので、今回は南十字星が見える国々を取り上げます。南十字座は有名ですが、実は全部で88ある星座の中で、一番小さくてかわいらしい星座なんです。元「天文少年」の私は、社会人になってからも、夜空を見上げては、さだまさしさんの「天文学者になればよかった」という歌を口ずさんだりしていましたから、私好みの企画でもあるんです。
松井:冒頭からロマンチックですが、それはいつ頃の歌ですか?
松田:昭和52、53年ころですから……あ、40年も前ですね。
松井:……(しばし沈黙)。ところで、オリンピックを見ていたら、ブラジルのほかにも南十字星をあしらった国旗があることに気付きました。オーストラリアの国旗のユニオンジャックの周りが星だとは知っていましたが。
松田:さすがですね。南十字星は、今日取り上げるオーストラリア、ニュージーランド、ブラジルのほか、ラグビーで強いサモアやパプアニューギニアの国旗にも使われています。さらに、オーストラリアの2ドル硬貨のデザインにも南十字星が使われているんですよ。
松井:そんなにあるんですか。
松田:元日銀マンとして、おカネのトリビアをもうひとつ。オーストラリアは、世界で最初にプラスチック(ポリマー)製のお札を取り入れた国で、その後ニュージーランドでも使われています。破れにくく長持ちするメリットがありますが、初めて手にしたときは、一部が透けていて、手触りもなんだかクリアファイルのようで違和感がありましたね。
◆一部スポーツで突出する南半球諸国
松田:ところで、ブラジルには150万人の日系人がいて、アメリカの120万人を上回り、世界でいちばん日系人の多い国です。明治以降ブラジルに移住した日本人の勤勉さは、現地の人に強い印象を与えたようですよ。
松井:日本とブラジルにそんな結びつきがあるなんて知りませんでした。
松田:日本で催される格闘技の試合で、グレイシー柔術などを使うブラジル人選手がやたらと強いのも、日本人が現地で伝えた柔道や空手などの影響と言われていて、日本とブラジルは世界で格闘技の双壁です。
松井:あの、ちょっと意外なのですが、格闘技もお詳しいんですね。ブラジルと言えばサッカーだと思いますが、ラグビーも南半球の国々が強いのですか。
松田:それは、過去のイギリスによる支配の影響で、ラグビーがスポーツの中で突出して盛んになったためだと思われます。あと、これらの国では、クリケットも大変盛んですね。サッカーといえば、31回を数える夏季五輪が南半球で開催されたのは、メルボルン、シドニーに次いで今回がまだ3度目ですが、サッカーのW杯は、第1回が南半球のウルグアイ、その後2014年のブラジルまで、実に20回中6回も南半球で開催されていますよ。
◆高金利で人気の南半球通貨たち
松井:そうなんですか? さすがですね。ところで、ブラジルの通貨はFXで取引できるのですか?
松田:日本で扱っているFX会社はほとんどありません。これは、ブラジル・レアルの銀行同士での取引量がまだ多くないため、FX業者としてなかなか扱いにくいということがあります。南半球諸国の通貨では、南アフリカ・ランド、オーストラリア・ドル、ニュージーランド・ドルが、それぞれザル、オージー、キウィの愛称で高い人気を誇っています。
松井:おそばや果物のような名前がついているのですね。
松田:キウィは、ニュージーランドにいるダチョウのような鳥のことで、国鳥にもなっています。
松井:あ、そうでしたか(笑)。私もオーストラリア・ドルは昔から金利が高くて外貨預金で人気があると聞いたことがあります。
松田:これらの国では総じて、インフレを抑え、外国の資本を呼び込む狙いもあって金利が高めに設定されてきているという特徴があります。相場変動で利益を得る機会ももちろんありますが、じっくりスワップポイントを貯めていくという投資スタイルを選ばれるお客さまに向いていると思います。