テレビでは、お笑い芸人の“Mr.都市伝説”関暁夫らが陰謀論を披露するバラエティ番組『やりすぎ都市伝説』(テレビ東京系)が人気を集め、ネットでは陰謀論や不思議科学などを扱うオカルトニュースサイト『TOCANA』が月間4500万PVを稼いでいる。『TOCANA』編集長の角由紀子氏は最近の陰謀論の傾向について、「電子空間の関心が高い」と話す。
「SNSやスマホに搭載された最新テクノロジーは、人間を監視し、情報を集めて奴隷化するために作られたという陰謀論です。米国の国家安全保障局(NSA)の元局員で、米政府による情報収集活動を暴露したエドワード・スノーデン氏が、『サイバー空間上のやりとりはすべて監視されている』と警告したことで信憑性を増しました」(角氏)
当局による監視・情報収集はSNSに限らない。昨年、全世界で5億ダウンロードを記録した「ポケモンGO」にもある陰謀が隠されているとの説がある。
「ポケモンGOは人間を誘導するために作られたという陰謀論です。『あそこにポケモンがいるぞ』との情報が流れると、ユーザーはこぞってその地に集結します。実は人々は、知らず知らずのうちに誘導実験に参加させられていて、そのデータは有事のシミュレーションや監視のために使われているというものです。
その根拠となるのが、ポケモンGOを開発した会社がもともとGoogle傘下にあったことで、Googleの情報はCIA(米中央情報局)に提供されていると信じている人々の間では、ポケモンGOで収集した情報もすべてCIAに送られていると思われているということです」(同前)
陰謀論者の間で現在、新潮流とされるのが「電子マネー」に関わる近未来像だ。
「最も注目されるのが、仮想通貨ビットコインを開発したサトシ・ナカモト氏が考案した『ブロックチェーン』というテクノロジーです。簡単に言うと、電子マネーの動きを監視して、取引を透明化できるシステム。こうした技術が主流になれば、資金の移動がすべてコンピューター上で管理されることになり、現在流通している紙幣が紙くずになる可能性がある。そのため、既存の富裕層支配に革命を起こすために考案されたという説があります」(同前)
興味深いことに、全く逆の視点の陰謀論も存在する。
「既存の富裕層はブロックチェーンの普及を阻止しようと動いているとされ、実際、2013年にビットコインの勢いが止まった背景には、“何者かの力”が働いたとも囁かれました」(同前)
※週刊ポスト2017年1月13・20日号