コラム

ロボアドバイザー投資 各社サービスの機能や特色は

ロボアドバイザー投資の各社サービスを比較

 AI(人口知能)が投資家に最適なポートフォリオを提案し、実際の運用までしてくれるロボアドバイザー投資が日本でも広がりを見せている。簡単な質問に答えるだけでアルゴリズムがその人のリスク許容度を分析し、最適なポートフォリオを提案してくれるサービスだ。

 日本で各社が提供しているサービスは投資対象や手数料、最低投資金額が異なるほか、それぞれに独自の機能や特色がある。

 MSV LIFE(マネックス・セゾン・バンガード投資顧問。括弧内は提供会社・以下同)は出口戦略が充実しており、年金生活者を想定した定期的な取り崩しや、教育費のように資産形成のゴールとなる時期を設定して取り崩しを始められる機能もある。

 ウェルスナビ(ウェルスナビ)では分配金などから生じる税負担が一定額を超えると、自動で含み損を確定させて税負担を繰り延べる機能がある。楽ラップ(楽天証券)は相場が急変すると株式比率を下げ債券や現金を増やしてしのぐ機能がある。

 まとまった資金がない人や毎月のキャッシュフローから資産を形成していきたいなら、積立投資に対応するところを選ぶといいだろう。

 投資一任契約を伴わないロボアドバイザーサービスも、数多く登場している。運用自体は投資家自身が行なう必要があるが、複数の質問に答えると最適な投資信託の組み合わせを提案してくれる診断のみのサービスだ。みずほ銀行やカブドットコム証券などが提供している。

 東海東京証券と三菱UFJ国際投信の診断サービスが投資対象として提案する「eMAXIS 最適化バランス」シリーズは、リスク水準を固定し、それに合わせて年に1回資産配分を見直すユニークな仕組みを持つ。松井証券では診断サービスのスタートに合わせて投信の取り扱いを再開。

 野村證券でも16パターンの性格診断を楽しみながら最適なバランス投信を提案するサービスを開始した。

 コストを払っておまかせ投資を利用するほどではないという人も、これらの診断サービスを活用し、自身でバランス投信に投資するのもいいだろう。

 アメリカでは一般化しているロボアドバイザー投資も、日本国内ではまだ黎明期だ。今後、普及が進めば投資家により有利な条件で投資できるようになる可能性もある。というのも、アメリカの最大手であるウェルスフロントでは、運用手数料は1万ドルまでは無料で、それを超えた分も0.25%と圧倒的な低コストを実現している。

 日本の運用会社が同水準のコストを実現するのは難しいだろうが、利用する投資家や参入する金融機関が増えれば競争によってコストが下がり、投資家のメリットはより大きくなるだろう。

 また、みずほ銀行では2017年から対象が拡大するiDeCo(個人型確定拠出年金)にロボアドバイザーを活用するとしており、要注目だ。

 とはいえ、当然ながらロボアドバイザー投資はメリットばかりではない。たとえば、すでに個別株や投信を保有している投資家が改めて世界分散投資にチャレンジするなら、すでに保有する資産を含めたポートフォリオを作るのが理想だ。

 しかし、現状のロボアドバイザーが行なうプロファイリングは主にリスク許容度を判断するもので、そこまでの事情は考慮しない。あくまでロボアドバイザーに託す資産の中での分散投資となる。

 また、コスト的に最も有利なのは自分自身で配分を決めて直接投資し、リバランスも行なうことだ。ロボアドバイザー運用にかかるコストは年1%以下とはいえ投資金額が大きいほど、運用期間が長くなるほど総額は大きくなる。コストと手間を比較し、納得した上で活用したい。

 診断だけならほとんどのサービスが口座を開設することなく無料で利用できるので、自分のリスク許容度を確認するためにも各社のウェブサイトを訪れてみてはいかがだろうか。

●文/森田悦子(ライター、ファイナンシャルプランナー)

マネーポスト2017年新春号

トピックス

同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
入場するとすぐに大屋根リングが(時事通信フォト)
興味がない自分が「万博に行ってきた!」という話にどう反応するか
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
初めて沖縄を訪問される愛子さま(2025年3月、神奈川・横浜市。撮影/JMPA)
【愛子さま、6月に初めての沖縄訪問】両陛下と宿泊を伴う公務での地方訪問は初 上皇ご夫妻が大事にされた“沖縄へ寄り添う姿勢”を令和に継承 
女性セブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
“極度の肥満”であるマイケル・タンジ死刑囚のが執行された(米フロリダ州矯正局HPより)
《肥満を理由に死刑執行停止を要求》「骨付き豚肉、ベーコン、アイス…」ついに執行されたマイケル・タンジ死刑囚の“最期の晩餐”と“今際のことば”【米国で進む執行】
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン