箱根駅伝の人気は高まるばかり。今年も各大学の精鋭が箱根路でしのぎを削ったが、大学駅伝シーズンを通して最新情報を本誌でレポートしてきた「EKIDEN NEWS」の“博士”こと西本武司氏は、すでに未来を見据えている。
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陸上長距離の「ゴールデンエイジ」は2001年生まれの現在の中学3年生である。彼らの成長こそ、最も楽しみに見ているところだ。その世代の筆頭は佐々木塁(岩手・河南中)。2014年、ジュニア五輪1500mを中1日本最高記録で制すると、2015年にも中学2年最高記録で優勝。さらに昨年7月の岩手県中学総体1500mで3分53秒の国内中学記録を叩き出した。
怖ろしいのは佐々木以外の選手も凄いことだ。2016年8月の全国中学校体育大会(松本市)の1500m決勝で佐々木は4位。トップは佐々木のベストとわずか0.8秒差の服部凱杏(愛知・千種中)だった。
同レース2位の馬場勇一郎(愛知・上郷)は7月に800mの中学記録を更新したばかり。同3位の林田洋翔(長崎・桜が原)は10月に3000mの中学記録を塗り替えた。箱根のスターたちが中学時代に作った記録を次々と塗り替える怪物世代なのだ。
8月の全中では中3による1500m決勝の直前、雨で競技が一旦中断した。「雨の全中」は怪物が生まれるサインだ。
私の脳裏には10年前の全中の決勝直前の雷雨の記憶が蘇った―雨の中、唯一人アップを続けたのが当時、東京・金井中の大迫傑で、現場でその姿に惚れ込んだのが当時の佐久長聖高・両角監督である。大迫が佐久長聖から早稲田大に進んで箱根のスターになり、世界へ飛び出したのは周知の通りだ。
東京五輪の陸上長距離で活躍が期待される筆頭は間違いなく大迫だ。そしてゴールデンエイジはその年、大学に入学、「東京の次」を狙うのだろう。かくして箱根駅伝を軸にした選手たちの物語は続く。だから2018年の箱根も、その先の箱根も、私たちはずっと、待ちきれないのだ。
※週刊ポスト2017年1月13・20日号