「『おんな城主 直虎』は『男』だった!?」──本誌昨年12月23日号が報じた記事が、1月8日から放送予定のNHK大河ドラマに激震を与えている。
柴咲コウ演じる主人公・井伊直虎に関しては、これまで女性として知られてきたが、本誌で井伊家末裔で井伊美術館館長の井伊達夫氏が、「直虎が女ではなく男だったことを示す史料が発見された」と告白。その後、新聞各紙でも新史料の存在が報じられ、話題騒然となった。困惑が広がるのは、放送を直前に控えたNHKである。
「よりによってこんな時期に発表しなくても」(NHK職員)との声が上がっているが、そんななか、大河の時代考証を務める小和田哲男・静岡大学名誉教授は、新聞各紙で「直虎が女性であることを否定するものではない」(静岡新聞ほか)ときっぱり否定し、事態の沈静化に努めた。
では、もう一人の時代考証担当者、戦国史研究者の大石泰史氏はどう考えているのか。本誌が直撃すると、
「直虎に関しては史料が少なかったので、時代考証する上で、新史料が出てきた意義は大きい」
と意外にも肯定的なのだ。
「新史料は1ページしか公開されていないので、まだ結論を出すことはできませんが、全体を検証した結果、“直虎が女だった”という説も覆る可能性がある。そもそも戦国武将・井伊直盛の娘である『次郎法師』が成長して武将『次郎直虎』(井伊直虎のこと)になるという根拠は、極端に言えば同じ『次郎』という名前だったからというだけです。新史料に関する推論には疑問も残りますが、今後、さらなる史料が出てくれば男だったという結論もあり得ます」
なんと、時代考証の担当者の間でも、「女説」と「男かも説」で見解が割れつつあるのだ。NHKは「ドラマはあくまでもフィクション」(広報局)と説明するが、いっそ男女両パターンで撮り直す?
※週刊ポスト2017年1月13・20日号