中国では年末、海軍の空母艦隊が初めて西太平洋や台湾周辺の海域に入り、海上補給訓練のほか、艦載機「殲15」による離着艦や空中給油などの「体系化、実戦化された組織的な訓練」や空母艦隊による初めての実弾演習を行ったことが連日、大きく報道された。
ネット上では「中国の空母艦隊は向かうところ敵なしだ」との書き込みのほか、これら一連の訓練について、中国メディアは「中国の空母艦隊はすでに大きな戦力を形成したことがはっきりとした」などとの現役の軍将校の発言を紹介するなど、まさに自画自賛のオンパレードで大変なはしゃぎぶりを示している。
中国共産党機関紙「人民日報」(電子版)は今回の空母艦隊の訓練について、NHKの報道を引用する形で、「日本の海上自衛隊は中国海軍の空母艦隊を初めて目撃して、非常に緊張していた」と伝えた。
それと同時に、毎日新聞の記事を引用して、「空母『遼寧』の今回の航行は中国海軍が空母の運用水準を高めたことを強調するとともに、『1つの中国』の原則を明確に受け入れるようトランプ氏(次期米大統領)を牽制するためだ」と報じるなど、今回の演習は日米両国に中国の空母艦隊の戦力を見せつけ、軍事的に牽制する目的があることを明らかにした。
これらの報道について、中国のネットユーザーは人民日報の書き込み欄に、「中国の空母艦隊は将来向かうところ敵なしの艦隊になる」や、「空母建造を進めよう。各省が出資して1隻ずつ空母を造り、それぞれの省の名前を空母に付けたらよい」などと、いささか興奮気味のコメントが寄せられた。
さらに、興奮しているのは読者だけでなく、人民日報系の国際問題専門紙「環球時報」(電子版)も楊宇軍・中国国防省報道官がかつて記者会見で語った「空母は“(家に閉じ籠もる)オタク”ではない。軍港にとどまり続けることはない。必ず遠洋航海に出る」との発言を紹介。「それが現実となるまでに3年を要したが、いま、それが本当に現実になったのだ」とかなりエキサイティングな調子で報じている。
さらに、同紙は中国海軍軍事学術研究所の張軍社研究員のコメントとして「空母の戦力形成に5~6年、さらには10年を要する国もある。参考にできる外国の同様のノウハウがない中、中国海軍が真剣な探求、苦しい訓練を経て、わずか4年で『遼寧』の戦力を形成したことは、外部の予想を大きく上回るものだ」と報じている。