いつからか投資の世界では、1億円以上を稼ぎ出した個人投資家のことを「億り人」と呼ぶようになったが、その下には“億り人”を目指す個人投資家たちがひしめき合っている。彼らは、いかにして資産を築き上げているのか? 三井僚さん(仮名。30代・投資歴15年・運用金額6700万円)が、自身の投資遍歴を振り返る。
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就職活動のとき金融業界を志望し、勉強の一環として実際に投資してみようと思ったのが、株式投資を始めたきっかけでした。2000年代前半、カルロス・ゴーン社長主導による日産自動車の調達見直し、いわゆる「ゴーン・ショック」で鉄鋼業界が不況に陥り、株価が暴落していたNKK(現JFEホールディングス)を購入。バイトで稼いだ50万円を投資したところ、株価が反発して2倍になって株式投資の魅力にハマりました。
基本的に逆張り狙いで、割安感の強い銘柄や、業績面での裏づけのある銘柄に投資するスタイルです。仕事柄、さまざまな業界動向もチェックしているおかげで、仕事で身につけた知識や分析は投資の役に立っていると思います。株式投資では、「自分が働いている業界」や「詳しい業界」に特化するのもいいですが、各企業が他の業界や経済と密接に繋がっているので、広く見渡すことも大事だと思っています。
長年市場を見ていると、企業ごとに業績予想の出し方のクセもわかってくるし、季節的な要因などで同じような動きをする株も見えてきます。例えば、商社株はボックス相場を形成することが多いので、「ボックス圏の下限で買い、上限で売る」という効率のいい売買を何度もしています。
現在の資産は6700万円程度。大きく殖やすことができた要因は、業績不振で叩き売られた銘柄を一発逆転狙いで投資してきたことでしょうか。2014年頃にはDeNAを3800万円ほど買ったのですが、大株主が保有株を売ったことで株価が半減する憂き目にも遭いました。含み損が2000万円を超えた局面もありましたが、その後、任天堂との提携などの好材料が出て切り返し、なんとか300万円くらいの利益確定ができました。
株式投資以外では「まとめサイト」を複数作っていて、アフィリエイト(成果報酬型広告)で月数万円くらいの収入になっています。月1500円ほどでサーバーを借りているのですが、GMOクラウドとGMOインターネットの株主優待で年2万円の割引を受けられるんです。おかげで、サーバー代は実質タダで済んでいます。
ほかに、優待券目当てでワタミなどの飲食店株も持っているので、食費を節約したり、長期保有株を証券会社に貸し出す「貸株サービス」で金利をもらったり、できることはフル活用しています。自分で選別した銘柄への一極集中投資と効率性で、早い時期での“億り人”入りを狙っています。