中国の脅威は日に日に増し、2017年中にも尖閣諸島が奪われる懸念がある。今年は、国を守るために重要な憲法改正論議も山場を迎える可能性がある。が、いざ憲法改正となると“内なる敵”がいるという。櫻井よしこ氏と百田尚樹氏が、90分にわたって論じ合った。
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百田尚樹:尖閣有事の際、米軍が出てくるために、絶対条件がひとつあります。
櫻井よしこ:何でしょう?
百田:自衛隊が出て戦うことです。
櫻井:それは間違いありませんね。
百田:自衛隊が後ろに隠れて「米軍さん、なんとかお願いします」と言ったって、米軍は戦いません。まずは自衛隊が出動しなければ話になりません。総理大臣が自衛隊に防衛出動命令を下せるかどうかは、世論の後押しにかかっています。
櫻井:しかし、朝日新聞をはじめとする左翼メディアが猛反対することは、容易に想像がつきますね。
百田:朝日新聞は「たかが島のために自衛隊員の命が失われていいのか」「尖閣を奪い返そうとしたら大きな戦争に発展して、市民に犠牲が出る」などと、一大キャンペーンを張るでしょう。
櫻井:百田さんの著書『カエルの楽園』では、「1、カエルを信じろ。2、カエルと争うな。3、争うための力を持つな」という「カエルの三戒」を守っていれば平和は保たれると信じていたツチガエルたちが、“隣の国”のウシガエルに目をくりぬかれ、腕をちぎられて食べられてしまいますね。
百田:はい。「カエルを信じろ」は「諸国民の公正と信義に信頼して」と謳う憲法前文、「カエルと争うな」「争うための力を持つな」はそれぞれ憲法9条を指しています。三戒を守ることが絶対と信じることで国が滅び、虐殺されるという寓話です。
櫻井:「三戒があるから平和が保たれている」と主張するカエルがいて、ウシガエルが侵入してきても「話し合えばわかる」「刺激するな」と。
百田:朝日新聞みたいですよね(笑)。私が懸念しているのは、戦後70年たって、多くの国民が自虐史観に根ざした戦後教育を受けてきたことです。「洗脳」が100%完了したわけです。
櫻井:私も、現行憲法の精神が日本人のすみずみまで行き渡ってしまったように感じます。