「朴槿恵─崔順実スキャンダル」で激動する韓国の新年は、早期大統領選に向けズブズブの政治の季節となる。韓国の政治史を振り返れば、1987年に復活した国民直接投票による現在の大統領選の歴史には、10年周期がある。今年はその「変化の周期」にあたる。
1987年以降、韓国では30年間に6人の大統領が誕生したが、これまで保守・革新あるいは右・左が二人ずつ10年おきに交代してきた。この流れで言えば、李明博・朴槿恵と続いた保守政権の次となる本年は、間違いなく左翼・革新系の野党政権誕生という順番なのだ。
朴槿恵大統領を“弾劾”に追い込んだいわゆる「100万人ロウソク・デモ」については、全斗煥軍事政権に改憲と民主化選挙を約束させた1987年の学生デモ「6月民主抗争」に比喩する向きがある。
街頭闘争を得意とする「韓国政治の伝統を受け継ぐもの」というわけだが、この1987年の民主化大統領選は、実は左翼・革新勢力にとっては「悪夢の大統領選」だった。
なぜなら街頭デモで民主化を勝ち取った民主化勢力(野党陣営)が選挙でも勝つはずだったのに、実際には全斗煥と同じく軍人出身の与党候補である盧泰愚が当選したからだ。原因は民主化勢力の野党陣営が分裂、金泳三と金大中が共に立候補し票が分散したためである。
今回も野党陣営には、前回、朴槿恵に惜敗した文在寅をはじめ「大統領になりたい候補」がたくさんいる。もし候補一本化に失敗すれば87年の「悪夢の再現」である。したがって今年、野党陣営はこの“トラウマ”から脱するため全力を挙げることになる。
その意味では、左翼・革新系にとっては実は「1987年の歴史」より「2002年の歴史」が重要なのだ。