公称827万世帯を信者に抱える創価学会では、池田大作・名誉会長の「位置付け」に変化が見られる。今後、池田氏からの世代交代が生じた時、学会はどうなるのか、宗教学者の島田裕巳氏が解説する。
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今、宗教界で注目されるのが、今後数年のうちに起きるだろう創価学会の世代交代だ。
池田氏は高齢で、1月2日で89歳になった。副理事長兼SGI(創価学会インタナショナル)副会長の長男、博正氏が“世襲”するとも言われるが、池田氏自ら「世襲はない」と言ってきただけに、その可能性は低いだろう。
世代交代という“Xデー”により、創価学会がどう変わるのかは予断を許さない。”後継者不在”という波乱要因があるからだ。
それを象徴するのが、池田名誉会長を含む「三代会長」の敬称が「先生」とされたことだ(聖教新聞2016年11月5日付)。それに先立つ2015年、池田氏は、牧口常三郎・初代会長、戸田城聖・第二代会長とともに「永遠の師匠」として仰ぐ対象になっていた(*学会員が読むお経の内容や読み方を定めた「勤行要典」に明記された)。今回、その位置付けがさらに高められた印象だ。
これは、創価学会が池田氏を仏教開祖の釈迦と同じような崇拝対象に位置付けたことを意味する。
私の知る限り、池田氏はこの7~8年、公の場に姿を見せることはなくなったが、その池田氏を「永遠の師匠」や「先生」として学会員の崇拝対象とするあたりに、ポスト池田体制となった後も組織の求心力を保つため、池田氏の権威を借りたいという現上層部の思惑を感じる。
※SAPIO2017年2月号