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脂肪細胞を用いた世界初の遺伝子治療研究がスタート

脂肪細胞を用いた世界初の研究がスタート

 遺伝子治療は、欠損している遺伝子を患者の体内に入れ、それが作るたんぱく質などによって、病気を治療するものだ。現在は患者の血液や骨髄から取り出した幹細胞に、健常人から取り出した正常な遺伝子をウイルスベクター(運び屋)に組み込み、培養した後に患者に戻す方法が取られていて、一部の遺伝病や、がん治療に対する臨床や治験が行なわれている。

 千葉大学医学部では、糖尿病に対する遺伝子治療の研究過程で、脂肪細胞がヒトの細胞の中で特に寿命が長く、がん化などの変化も生じにくいなどの特徴を持つことに着目。難病の遺伝子治療のために、タンパクを分泌するように加工した脂肪細胞の研究を続け、治療用遺伝子導入ヒト脂肪細胞の実用化を目指し、特許を取得した。

 千葉大学医学部附属病院未来開拓センターの黒田正幸特任准教授に話を聞いた。

「今年早々に、脂肪細胞を使った家族性LCAT欠損症に対する遺伝子治療の臨床研究がスタートします。家族性LCAT欠損症は、LCATを作り出す遺伝子の異常によって、LCATタンパクを作り出せなくなる病気です。血液中の善玉コレステロールが著しく減少する結果、体内の過剰なコレステロールが腎臓や目などに蓄積し、腎機能障害や角膜混濁などの障害を起こす遺伝疾患です」

 実施予定の臨床研究では、正常なLCATタンパクを作り出す遺伝子を組み込んだ脂肪細胞を患者に移植する。患者の腹部から脂肪吸引で、約20グラムの脂肪細胞を採取。それにウイルスベクターによって、健常者のLCATタンパクを分泌する遺伝子を入れ、培養後、再び患者の体内に戻す。細胞の調整には3週間を要する。これにより、患者の体内で、正常なLCATタンパクを持続的に補充することが可能となる。

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