シニア層の間で同窓会に対する需要が高まっているという。同窓会の幹事を代行する『笑屋』の取締役・八木誠さんは「東日本大震災の翌年あたりから、徐々に同窓会の熱が上がり始めた」と指摘。同窓会に関する問い合わせも、毎年130%の割合で増えており、65才以上の同窓会が恒例行事になることも多いとのこと。
毎年、旧友との時間を大切にしている人がいれば、同窓会に興味がないという人もいる。作家の伊集院静さん(66才)は『週刊文春』の連載「悩むが花」で、同窓会への参加を悩む女性から「先生は同窓会に行っていますか?」と質問が寄せられた際、「行かないナ」とばっさり。「何の為に同窓会するのか、わしはさっぱりわからんナ。毎日、忙しくて、何かを懐かしんどる発想が湧かんのだろうナ」と述べていた。
だが、「おれ、いいや」と同窓会に参加しないと、それが今生の別れになることもある。増本義男さん(仮名・73才)は、「この年齢になると、徐々に会う頻度が増す」と話す。
「50代後半から60代までは、いわゆる“がん年齢”。1割の仲間がこの時期に亡くなりました。いちばん親しかった友人も、近いうちに会おうと思っているうちに、ゆっくり話す機会もないまま突然亡くなってしまいました。だからこそ、まだ共に生きている喜びをかみしめながら、昔話をしたいという気持ちが強いですね」
数え年で70才を「古稀」というが、そこまで長生きしていることがまれだったからというのが語源だ。いつでも会えると思っていたら、一生会えなくなってしまうこともあるのがこの年代なのだ。
「昔に比べて会費は安くなりました。お酒もそんなに飲めないし、年金生活者ばかりだから、5000円以下が多いです。場所も寿司のチェーン店でランチコースとか、カラオケの個室。一度奮発して1万円で『なだ万』を予約したことがあったけれど、終わったあとに『今回は高かったわねえ』って不平不満が出てた(笑い)。だけど、文句を言いながらも『またみんなで集まれたね』と言い合えるのはうれしいことです。
ただ、前の年までは連絡がついたのに、翌年、急に連絡が取れなくなった人もいます。その人の思い出話になって『今、どうしているんだろうね』と話す時はしんみりしちゃいます」(増本さん)
『大人の始末』などの著書がある作家の落合恵子さん(71才)が、最近同級生と話題にするのは、定年を迎え、自分たちの「始末」をどうつけるかということ。